少



「…で、此処は何だ?」

「ん?俺の家。…の隣の家」

「うるさいそんなのは見ればわかる、当たり前のことを言うな馬鹿。
この家にその用事があるというのですか?って聞いてるんだ」

私は彼に連れられて、彼の家…の隣の家の前に来ていた。
普通の一軒家にも見えるが、
私は最初からこの家にチリッと、何か僅かな違和感を感じていた。

「此処、俺の友達の家なんだ。去年引っ越してきた奴だから、お前とは入れ替わりかな」

彼の問いに私ははあ、と答える他無かった。
つまり私と、この家の住人は面識がない。
しかもやはり私はこいつと友達か何かだったようだ。
全然思い出せないけど。
そしてはた、と気付く。
何となくここに昔住人が居なかった気がする。
違和感の正体はこれだろう、多分。

「お前がどっか出てったから、家出る前に言っといたんだ。遊びに行くぜ!ってな」

…家を出る前に?
別に隣ならわざわざ電話する必要も無いような気がするが、まぁいいか

私が何か言う前に、彼がインターホンを押した。
5、10秒経っても出てこない。
痺れを切らしたのか、インターホンを連打し始めた。
…中にいる人間はさぞかし迷惑なんだろう
住人はやはり早く出てきた。

私たちと同い年くらいの…少年。
前髪をあげているあたり、知り合いに似ている気がしないでもないが、気のせい。

「こいつ、祢本要。」

簡単な紹介。
私ははやり はあ、と答える他なかった。



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