彼は、木の上に居た。
多分、私がフラッと外に出たのを心配したのだろうか。
彼の母親が。
「…私のことは別にいい…迷子にもならないし」
「?何で昔住んでたところで迷子になるんだよ?」
「…私…」
一瞬今の流れで、いってしまおうかと思った。
実は私は、昔の記憶があまりなくて。
身体も半分昔のものではなくて
…サイボーグだし
何故こうなったのかもわからない。
どう説明したらいいのかもわからないし、
何より難なのは
「どうした?腹の調子でも悪いか?」
「…うるさい。別に、何でもない。私に構うな」
「おー こえーなー」
どうしても悪態をついてしまう。
怒っているわけではないが、
自分の身体の違和感と、記憶が無いのもどうしてもバレたくない。
決して怒っているわけではない
「一人で居たい。構うな」
「んなわけにもいかねーよ。今日はお前にもやってもらいたいことがあんだよ」
「え?」
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