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光を失った植物



絡んできた男たちはあっという間に伸された







ほんとに、抵抗する間も与えずボコボコに

圧倒的な力の差は、周囲で騒いでた仲間たちに火をつけることもなかった






皆、倒れた男たちを遠巻きに見つめ、決して麦わら達に近づこうとはしない







しかし、私にとって麦わらに沈められ、地面で白目を剥いている奴、報復を目論むこともできない腰抜け


興味はない







騒ぎが大きくなる前に、島の奥へ突き進んだ奴を追いかける

体に強く染みついた血の匂い







「なぁ、名前が向かってる方向

さっき、すげぇ血の匂いをプンプンさせてた奴が歩いてった方角と同じだ」








私、同様に血の匂いをかぎ取ったチョッパーが不安げな声音でルフィたちに伝えている







既に先を駆けて行き、姿の見えなくなってしまった名前をチョッパーの鼻を頼りに追いかける


街からはずいぶんと遠ざかり、背の高い木々に覆われた森の中には、月の光以外に辺りを照らすものは何一つない






「お、俺は暗いところに入ったら、死んでしまう病なんだ〜」



「うっさい!ウソップ!

ここまで来たら、行くしかないでしょ!

こんなところで、一人になるなんてまっぴらよ!」







肩を震わせ、涙を目に浮かべ、ナミは必死に前方を歩く仲間の後をついて歩く

死んだふりのウソップのために足を止める優しさは誰一人持ち合わせていないらしい






足を止めるどころか、振り返りさえしない仲間に観念して、ウソップはむくりと体を起こす





「おーい、待ってくれー

お前ら、俺がいないとどうせ何にもできやしないんだ

仕方がないから、このキャプテンウソップ様がお前らを統率していってやろうじゃないか!!



がっはっはっは!!あれ?ちょっと

待てって、お前らー」








***
**
*







「これが、あの有名なデンデンの植物かーー!!」


「これを売りさばいて、ガッポガッポ!ぎゃはははは!!」






奥地までようやっとやってきた、海賊たちは大口を開けて喜んでいるが、それに比べて、船長と思われる男の様子は浮かれたものではない






「船長!!船長!!さっそく、根こそぎいただきやしょうぜ」





「・・思っていたのと違う」




「?そりゃ確かに、聞いていたよりずっと少ねぇが、その分単価を上げれば、ぼろもうけは変わらねぇよ!」





ガッと鈍い音を立て、講釈を垂れていた一人の海賊が宙を舞った

重い体を強かに、地面に打ち付ける





拍子にデンデンの花が体の下敷きになり、辺りには勢いで揺れるデンデンの花






徐々に揺れる花が光を放ち始め、一面が光に包まれる




陰から海賊たちの様子をのぞき見していた名前は眩しさに、目をしかめた






「俺が求めていたのは、こんなつまらねぇ光る花じゃねぇ」

生き生きと輝き、甘い匂いを放ち、揺れる花たち






海賊団の船長は、その花を一瞥すると、怒りをあらわに花を蹴散らす





ふと我を忘れて、名前は飛び出しそうになったが、タイミングよく



「うおおおお〜っ!!すっっっっげぇえええええ!!

皆見てみろよ!!!!花がめちゃくちゃ光ってんぞおぉぉ」







情緒のかけらもない、間の抜けた声が響き、思いとどまることができた

つい、苦笑いがこぼれる







「あら、本当にきれいね」



「きゃ〜っ、これを全部売ったら、一体、いくらくらいになるのかしら」



「てめぇが、見るとやっぱり全てが金に変わんのか・・」




『ナミはやっぱり、金の亡者だ』






「なんですって?じゃあ、あんたらは今後も小遣いなしで、やっていくのね?

お金がなかったら、小遣いも、食料も、酒も一切手に入らないんだからね?」





『ははぁっ、ナミ様、神様、仏様

我々は誠心誠意ナミ様に、お仕え致します』

「わかればよろしい!」







深々と土下座する仲間たち







こんな茶番を、蔑んだ目で見る海賊たちにようやっと気づいたのはゾロ





「てめぇら、町にいた海賊共の親玉ってところか」


腰に下げた刀に手を掛け、臨戦体勢をとる







転がっていた男も上体を起こして、軽く頭を振り、麦わらの一味に視線を向ける




「てめぇらこそ何者だ

一丁前に腰にぶら下げたそれは、海賊狩りでも気取ってるつもりか」






「くだらねぇ真似しやがったら、その首吹っ飛ばすぞ」




「お前らみたいな、頭空っぽの町のチンピラはでも名前くらい聞いたことあるんじゃねえか


俺らのボス、黒羽海賊団の烏さんとはこの方よ!

分かったら、さっさと尻尾巻いて失せな!!」







全身黒ずくめの男の回りを囲むように立ち、男たちは蔑むような視線を送り付ける





そして、やや離れたところに女が一人







真っ黒なパンツスーツに黒のハイヒール

細く長い足は、スーツを履いていたってよく分かる



中にも黒いシャツで全身黒に覆われた一団は、今から葬儀でも開くかのような風体



街で殺り合った男たちとは違い、言葉は一味を嘗めきった態度だが、一味の一挙一動を値踏みし、その実力差を計っている







「おい、お前らがこいつらの相手をしろ

俺は、もう少し奥の方まで様子を見に行く

目的の物を見つけるまで、この島は出れねぇからな」





『アイサー、ボス』





『イヤーーーっ!!!』

舌舐めずりをした屈強な男たちの様子に悲鳴を上げて勢いよく後退したのは、ナミとウソップ、チョッパー






「あんたたち、さっさと殺っておしまい!

私たちに指一本触れ指すんじゃないわよ!」




「キャプテーンウソップが側で見守っててやるから、安心して闘うんだ!君達!!」





ゾロは早速と抜刀し、サンジも吸いかけのタバコを足で踏み消した




「なんだー?おまえら?

お前らも、花見に来たのか?キレーだよなー

・・・おい、お前ら花踏んじまってるぞ!

ダメなんだー、知らねぇのか!ここの花は不思議花で珍しくてここにしかないからな!


大切にしなくちゃいけねぇんだ!!」





黒羽海賊が踏みつけている、既に光を失った花を見てルフィは、憤慨した






「おいルフィ、そういう問題じゃねえよ

こいつら密猟者かと思ったが、案外そういう訳でもなさそうだ


ここの花以上に、あいつらにとって価値のあるものがあるらしい

それが、どんな代物なのかぜひ、拝見したいもんだね」






背を向けてさらに森の奥へと進もうとする、船長烏に向かってゾロは挑発の言葉を投げ掛ける





「はっ、尻尾巻いて逃げてんのはてめぇらの船長さんのようだぜ

敵に背を向けて仲間を置き去りとは、よほど臆病な船長らしい

一介の海賊名乗るにゃ、及ばねぇ弱虫が!!」






その怒声に振り向き、釣り上げられた瞳は、視線だけでも人を殺しそうである






「ほざけ、お前らごとき小者に俺の出る幕はない

俺の側近の部下達が相手するのも勿体ないくらいだ」



「気にするな、船長

こんな奴等、即行で片付けて追い付く、先に行っててくれ」





そして、烏は闇の中へと消えていった





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