アリス
この学園に転校してくる子たち全てが通る道
教室を開けると不思議ワールド
当たり前のように人や物が宙に浮かんでいる
授業時間外はアリスの使用に制限が設けられていないため、教室内の様子はカオス
さらにこのクラスでは悪いことに日向君を中心に授業のボイコットや副担任先生いびりが・・
本来、担任である鳴海先生がまとめるべきであるはずなのに、佐倉さんの紹介をすると華麗に副担任先生に押し付けて教室を出ていく
その姿に思わず小さくため息をつく・・
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「信じられない!!自分がアリスかどうかも分からないの!?」
「アリス、アリスってそんなにアリスが「偉いわよ!」」
「アリスはこの国のスペシャリスト!選ばれた人間なのよ!
アリス以外の人間なんてアリスの恩恵を受けて群がる寄生虫よ!」
「・・くだらない・・」
正田さんの言葉が任務で疲れた身体に障る
私にとってアリスこそが一般人からのはみ出し者
アリス学園は行き場をなくした、はみ出し者が、自らのアイデンティティを守るために作り出した囲いのように思えて仕方がない
その証拠にアリス学園という肩書を持たないアリス達は学園から身を隠すためだけではなく、一般人に溶け込むため、アリスの使用を自ら制限するものも多いと聞く
当たり前だ
突然人が空を飛んだり、消えたりしたら一般人は恐れ逃げていくだろう
アリスが世間から孤立してしまうことは、火を見るより明らかである
完全な孤独が平気な人間なんていない・・
そういう意味では、アリスも一般人と変わらないのかもね・・
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「北の森に行って、無事に帰ってくることができたら認めてやるよ」
「行く!!」
と二つ返事
どんなところか知りもしないで・・と威勢の良さに関心を覚える
「不慣れな新入りってことで、特別に友達を連れて行かせてやるよ」
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「なぁなぁ
うち、まだ名前聞いてなかったやんな
名前なんて言うん?」
北の森へ飛田君と今井さんがついていくことになった
しかし、この流れは・・
「よかったら、あんたも一緒についてきてくれん?」
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「私は、用事があるから」
初めて喋った思ったら、簡単にばっさり切り捨てよった
それに、名前もまた聞き損ねてしもた
「なんで、あの子はついて来てくれんかったんやろぉ・・」
「き、気にすることないよ、蜜柑ちゃん
名前ちゃんは、な、なんていうかマイペースな人なんだよ」
そっか、名前ちゃん言うんや・・・
「それに、用事があるって言ってたじゃない
朝からあんたに付き合ってたせいで、遅刻してたし、罰則を受けてるのよ」
「ば、罰則!?」
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結局、遅刻の罰則として定番のごみ箱のゲロ掃除"をすることに・・
遅刻したのは、私のせいじゃないのに..と抗議するも、本日の罰則当番、神野先生ことじんじん"
・・見逃してくれるはずもなく・・・
鳴海先生の口添えのおかげで、アリス使用の許可だけは得ることができた
アリスが使えるなら、こんな仕事は楽勝で・・
・・でも決してやりたい仕事ではない・・
とりあえず、アリスを使って逃げ惑うごみ箱たちを捕獲
着々と仕事をこなす
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「蛍は発明のアリス、委員長は幻覚のアリス、アリスにも色々あるんやなぁ
・・その・・・名前ちゃんのアリスはなんなん?」
初めて呼ぶ名に柄にもなく声が上ずってしもた
「名前ちゃんは、言霊のアリスだよ」
「言霊?」
「つまり、言葉を使って物を操る能力
石に向かって空を飛べ"って言うと飛ばすこともできる能力ってこと」
「すっごいなぁ!!それやったら、何でも思い通りになるやん!!」
「そ、そういうわけでもないみたい
その操る対象によって効きやすい命令も違って、相性の悪い命令をするとリバウンドが大きく返って来てしまうこともあるらしいよ」
「・・へぇ
なんや、大変なんやなぁ」
少し色素の薄い髪を三つ編みにしている大人っぽい子
この学園で初めて出会った同い年の子
絶対に友達になってアリス見してもらうんや!
「人のアリスのことはいいから、早くあんたのアリスを見つけなさい
このままだと、本当に学園から出ていくことになるわよ」
「・・うぐぅ・・」
蛍の厳しい一言で撃沈・・
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[mokuji]
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