■ 第二十六爪

 


ちょ、待てし!

また戦当日にトリップかよ!

俺の苦労した特訓はどうなるんだ!



誰だこの人。26
〜俺、あの人達を甘く見てたよ〜



「うわぁ、凄い威圧」

「へぇ、零龍でも分かるんだ」

「いや少しは分かるし。ってかこれで分からん奴はどんだけ能天気?」

「零龍以上だよね。まぁいないだろうけど」

「ちょっと待て、俺が能天気って言いたいのかテメー」

「だってそうでしょ。『少しは』って言ったんだし。俺様は忍だから痛い位感じるけど、一般兵でも肌でしっかり感じてるってば」

「あー言えばこー言う、ね…はんべナイス」

「何か言った?」

「いや何にもー?」



適当に佐助と会話をしていると佐助が父上に呼ばれた。

一人ポツンと残された俺。

そろそろ出陣のようなので騎馬隊の一番前に行く。

…ん?轢かれる気満々かだと?

んな訳あるかっ!

実は騎馬隊の指揮を俺が任されちゃったりしたのだ。

遡る事2日前…。



―2日前―



「零龍殿!お館様が呼んでおられましたぞ」

「え、何で」

「何やら重要な事ゆえ、急ぎ来いとの事でしたが…」

「…早く言えぇぇぇ!」



ダッシュで父上の元へ向かう。

…数分で来なかったら例え俺でも鉄拳飛んでくるからね。

勢いよくふすまを開ける…と。



…そこには家臣様方が勢揃い☆



ちょ、待てし。

緊張で殺す気か父上。



「おぉ、やっと来たか零龍」

「き、来ましたよー…ってか何事」

「実はな、零龍に頼みたい事があるんじゃが…」

「…うん何?」

「騎馬隊の指揮を任せてもよいかの?」

「…うん?何もう一回言ってくれますか父上」

「騎馬隊の指揮を任せてよいか、と聞いたのじゃが」

「…何で俺ぇぇぇぇぇ?!」



ただでさえ心臓バックバクなのにまさかの重役だよ。

てか織田相手だし絶対これ相手銃だよね?

え、これ知った上での判断ですか父上。



とりあえず断る訳にも行かず…(家臣様方と父上の視線が超期待に満ちてたから)

…期待されると断れない派なんですぅー。

うん俺語尾に小文字つけちゃ駄目だな。

そんな訳で今、騎馬隊を動かしておりまっする。

古いって?俺が使ったら古くないの。



「だいたいそんな感じだから後は合図出したら各自自由に突っ込んじゃって」

「「「えぇっ!」」」

「…不満?」

「不満も何も、そんな投げやりで…」

「いーのいーの。どーせ佐助が出てくるだろーしその間にぱっぱとやればいいんだしー」

「は、はぁ…」

「そんな訳だから、さーすけー後頼んだ」

「は?ちょっとちょっと、単身で突撃する気?」

「え、勿論そのつもりですが何か」

「いや、何かじゃなくて。死ぬよ?」

「死なないよ、敵に見つかる前に霧出してくれりゃそれでよし」

「……はいはい。じゃあ無事だといいね」

「オイどういう意味だアァン?」

「ほらほら、さっさと行ってらっしゃい」

「ケッ…いってきまー」



そんな訳でてくてくと歩いてるよ。

戦場ど真ん中。

ちょ、誰か気付けし。

とか考えてると前方に人影。

……おっしゃ、猛ダッシュ準備!



「…おや、貴方は確か…」

「見つかったぁぁぁぁぁぁ!」

「何故逃げるのです?…ふふふ」

「テメェが敵さんの中で一番厄介だからだよ!」

「お待ちなさい…!貴方とは楽しく殺りあえそうですよ…!」

「ぎゃあああああ!来んなぁぁぁぁぁ!!」



何でよりによってコイツに見つかるぅぅぅ!

逃げなきゃマジ殺される!

俺まだ死にたくないし!



―無我夢中で走って数分後―



あれ?何で俺ここ居る訳?

武田本陣に帰ろうと真っ直ぐ走った…よね?

何で敵本陣に居る訳?


ひぃぃぃ、とりあえず武田に帰る為強行突破ー!



「なっ、何だこいつは!」

「止めろ!信長様に近づけさせるな!」

「うっせぇぇぇ俺は帰りたいんだよ!すみません武田本陣はどっちですか!」

「何やってんだよお前ら!蘭丸の部下ならしっかりやれ!」

「げっこの声…」

「ら、蘭丸様!」

「キター!何か来ちゃっためんどくせぇぇぇ!」



「あ、お前!さっき光秀に追いかけられてたやつだろ!」

「何で知ってんだよ!」

「蘭丸は見てたからな!」

「助けろ馬鹿!」

「何で敵を助けなきゃいけないんだよ!」

「んだとこのガキー!」



蘭丸相手に本気に怒ってます俺。

…いや、落ち着け!

ここで止まるとアレがく…。



「ふふ、こんな所に居たのですね」



来たー!来ちゃったー!

とりあえず声が耳に届くと同時に心で叫び走り出す。

蘭丸、何故お前ついてくるし!



「ぎゃあああ来るな変態ぃぃぃ!」

「光秀!お前どこに居たんだよ!」

「子供に言っても分かる筈の無い場所ですよ」

「何だとー?!」



蘭丸怒った!蘭丸立ち止まった!俺も立ち止まる!

明智も立ち止まった!

お互い殺気を出している!

チャンス!



「やれやれ蘭丸!そのまま変態を葬れ!」

「おや、敵である貴方がそこの餓鬼に味方するとは…」

「お前につくよかマシだ滅びろ」

「お、お前に言われたからって光秀を殺るんじゃないぞ!蘭丸が嫌いだか」

「分かってんだよんな事!さっさと殺っておしまい蘭丸!」

「気安く名前を呼ぶなよ!」

「うっせー!てーか明智が凄い笑み浮かべつつ迫ってきてんぞ!」

「うわっ!来るな光秀!」

「ぎゃああしかも軽く俺狙いぃぃぃ!」

「ふふふ…はははは!逃げる事は無いでしょう…!」

「逃げるわぁぁぁぁぁ!」

「あっ!そっちは…!」

「うるせぇぇぇ止まってやられるよかマシじゃあああ!」

「何事なの?!」



「濃姫様!」

「まさかの濃姫様ー!?」




「…!貴方は、一体…!」

「いやちょっと道尋ねる前に後ろの人どうにかしてくれませんか!怖い!」

「まさか、上総ノ介様を狙う武田の者…!」

「いや武田の者ですけどねってちょ、待っ」



何か…うん凄い銃ぶっ放してきたよ!

ひぃぃ当たる当たる!

でも何か自分でもビビるくらい避けてる!

え、誰これ!俺?ホントに俺!?

って位避けまくってる。

あれ、これ忍の特権じゃないんですか。



「当たらない…?!」

「まさかの全弾避けれた?!」

「面白いですね…それでこそ殺り甲斐があると言うものですよ!」

「漢字!漢字違う!」

「さぁ…殺りましょう!私を楽しませて下さいよ…!」

「無理だし!マジで無理!俺お前の相手やだ!」

「光秀!そいつは蘭丸の獲物だぞ!」

「お前の相手もしねーよ!刀相手に弓とかズルいんだよ!」

「何だとー?!弓矢だって立派な武器だろ!」

「駄菓子菓子ズルい!」

「おや、貴方も漢字を間違えていますよ」

「これはわざとなんだよ」



と、何故かほのぼのしてると(濃姫様はポカンとしてた)

背後からゾッとするくらいの殺気。

何か殺気に潰されそうであります隊長。

まぁ耐えられなくて片膝ついちゃったんですけど。

耐えればよかったー。



「虫ケラめが…」

「上総ノ介様…!」

「信長公…」

「あ、信長様!」

「ひぃぃ、マジ怖いんだけどー…!」

「我が首をたかが一人で取りに来たか」

「残念ですけど違います」

「…何?」

「ぶっちゃけ本陣に帰りたい方です。道に迷いました!」

「…お前馬鹿なのか?」

「蘭丸よか頭はいい筈」

「むっ」

「ふふ、実に面白い…」

「俺は面白くも何ともねーんだよ」

「つれませんねぇ…」

「…気付かなかったの?」

「何となく敵が増えてくなーとは思ってたけどまさか敵本陣に乗り込んでるとは思いませんでした。そこの変態に会うまでは」

「ほう…ならば、貴様はこの後どう動く」

「とりあえず殺気が収まったら飛んで帰りますよえぇ」

「首を取る絶好の機会があると言うのにか」

「あっても!とりあえず俺は帰りたいんですよ!何としてでも!」

「我が首よりも…逃げる事を望むか」

「まぁある意味逃げますね。だって勝ち目無いし!」

「余の目に姿が映る限り…生きて帰れると思う出ないわ」

「何でー!?」

「そうだそうだ!信長様を見た以上お前は蘭丸に殺される運命なんだよ!」

「お前には絶対負けねぇ!」

「何をー?!」

「んだとー?!」

「ふふふふふ…信長公に見つかっていようと見つかっていまいと…私に見つかったからには死んで頂きますよ…」

「何それ超理不尽!」

「……これも、上総ノ介様の為!」

「マジすか濃姫様!」



まさかの4対1に俺は泣きそうです。

誰か助けて!



と心で叫んだら聞き覚えのある声と気配が。

天の助けぇぇぇぇ!







終われ!

――――――――――ミ☆
織田家頑張った←
とりあえずグダグダですねーいつも以上に…。
信長公の口調分かんないよー。
夜中、明智に笑い声と共に追いかけられると怖いですよね。
自分ならとりあえず泣いて逃げます(
蘭丸が「何だとー?!」が大抵ですねー。
セリフ増やさねば←

天の助け、もう誰か分かった人居るでしょうか?

ここまで見て頂きありがとうございました!


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