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悪夢≒現実

 


綺麗な星の見える夜、窓を開けたまま寝ると悪夢を見るという。

そんな噂が広まっているらしく、神様と六達が騒いでいた。





「ホントなんだよー」

「ホントに悪夢見るんだぜ、黒」

「噂なんか聞いてないで仕事しに行けよお前ら…神様も」



仕事なんてそっちのけで、わいわいと盛り上がる神と侍と暗殺者。

何でも最近話題の噂らしい。

試しに実行して不眠症になった奴がいるとかいないとか。

率直な感想が「下らない」だった。



「馬鹿馬鹿しい」

「随分否定的だな、黒」

「そうそう、何でよ?」

「興味無い」

「じゃあ、一回やってみようぜ」

「確かに、それが手っ取り早いな」

「…なんで俺が」

「「「信じないから」」」



で、今に至る。

現在、午後10時。

今日は昼間に頑張って動いたせいか、程よく眠い。

ふぁ、と欠伸をして、そろそろ寝るかとベッドにもぐり込む。

部屋の窓は開けたまま。

ありえない。

たかが窓を開けただけで、悪夢を見るなんて。

そう高をくくって眠りについた。






 ― ガシャン



はっ、と目が覚める。

耳元で何かの割れる音が聞こえた。

部屋を見回すが何も変化はない。

枕にも、俺が寝ていた事を示す温もり以外、何も変化はない。



 ― 何だ、気のせいか。



そう思って、寝ようとした。

が、寝付けない。

時計を見れば、まだ寝てから4時間程しか経っていなかった。

所謂、草木も眠る丑三つ時、と言う奴だ。

闇に慣れきっている俺は大して怖いなどと思わないが、今日に限って何故か不安がもやもやと心に溜まっていく。

窓を開けっぱなしにしているせいか、少し肌寒くカーテンもパタパタと揺れて音を立てている。

寝よう、寝ようと思いながらゴロゴロと寝返りをするが眠れそうにも無かった。

少しだけ情けない、と思いながらリビングへと足を運ぶ。

窓を開けていたせいで寒くて仕方なかったから、何か暖かいものでも飲もうと思ったからだ。

階段を降りていくと、リビングから薄く明かりが漏れているのに気がついた。

神様が起きているのだろうか?

もしかしたら仕事をしているかもしれない、と思った俺は、そっと開いていた扉の隙間から中を覗き見た。

そこには。



「助けて助けて」
「お母さんどこ、お母さん」
「あぁぁぁああぁぁあ!」
「いやだしにたくないいやだいやだいやだ」



人、人、人。

いや、人と言っていいのか分からない何かが、大量にあった。

一つは顔から腕が生えていたり、一つは足と手の接合部に目やら口やらあったり。

人とは言えない、何かが、ごろごろと転がっていた。

異様な部屋の雰囲気に思わず口元を覆う。

胃から何かが勢いよくこみ上げてくる感じがした。

洗面台に走っていく暇もなく、その場で嘔吐してしまった。



 ― 何だ、あれは。



初めて見た光景に自問自答を繰り返す。

見間違いでなければ、あの中心に、あの、部屋のテーブルの上で、神様が。

『アレ』を創っていた。

見てはいけないものを見たような気がした俺は、部屋に戻ろうと顔を上げる。

目に入ったのは、目。

此方をじっと見つめる、目。

大きく見開かれた目が俺をジッと見つめている。

また、吐き気がした。

だがそんな事をする前に『ソレ』が叫んだ。

耳を劈くような、そう、誰でも聞いた事はある、黒板やガラスを爪で引っかいたような不快な音。

この家には俺と神様しかいない。

そんな事をされれば、神様にすぐバレてしまう。

叫びを聞いてすぐに走り出した俺は、真っ直ぐ部屋に向かった。

自室に飛び込むように入ると、内側からしっかりと施錠して、ズルズルと扉を背に座り込んだ。

息が上がっている。

深呼吸をしてとりあえずドクドクとうるさい心臓を落ち着かせようとする。

が、それはすぐに無意味なものになった。



ドン!



背中が、扉の振動と共に揺れる。

叩いた。

この部屋を、何かが叩いた。

気付いて、いる。

また心臓がドクドク、バクバクと激しく動き出す。

あんなものに追いかけられるなど、恐ろしくて仕方ない。



 ― まさか、これは夢なのか?



あの扉を開けていたら悪夢を見る、という噂は本当だったのだろうか。

もしそうなら、今見ているこれは夢。

現実ではないのだ。

夢如きでこんなに焦る事はない。

そう思うことで少し落ち着いてきた矢先。



カチャリ



思わず、扉から急いで離れて後ずさった。

聞き違いでなければ、今、外から鍵が、開けられた。

だが、この扉は外から開けられないようになっている。

一体どうやって?

ちゃんと見れば内側の鍵はまだ閉まったままだ。

今の音は何なんだ。

一度に色々ありすぎるせいで頭は混乱状態。

落ち着け、落ち着け。

まず、ここから逃げた方がいい。

六の家にでも飛び込んだ方がよっぽどか安全そうな気がする。

神様が何のつもりであんな事をしているのか分からないが、俺には刺激が強すぎて受け付けられない。

逃げなくては。

扉に背を向けて、窓に近寄った瞬間。

目の前に、顔。

先ほど、リビングで見た顔だ。

俺をずっと見て、いきなり叫んだ『ソレ』が。

目の前にボタリと落ちてきた。



「………っ!」


金縛りにあったみたいに体が動かない。

ゆっくり、ゆっくりと『ソレ』は近づいてくる。

ふと、後ろの扉からカチャカチャと音が聞こえた。



カチリ



「?!」



鍵が、開いた。

開く筈のない鍵が、見ている傍で開きやがった。

ゆっくりとドアノブが回り、キィ、と扉が開く。

当然そこには、リビングにいた沢山の『モノ』達。

ゾロゾロと此方に迫ってくる。

気付けば部屋中に『ソレ』が溢れていた。

どうにも出来ずに居ると、背後から首筋に何かが刺さった。

そこから記憶はない。








 ― おい、黒、起きろ

 ― おーい、黒ー起きろー撃つぞ

 ― おいKKお前殴るぞ

 ― じょ、冗談だってば



声が聞こえる。

頭が痛い。

というか、額が痛い。

少し頭を浮かせれば『ゴリッ』と言う音と共に冷たい小さな何かにブチ当たった。

うっすらと、周りが色で判別出来る程度に目を開く。

それに気付いたのか、神様達が声をかけてくれた。



「お、起きたぞ」

「オイKKいい加減しまわないと殴るぞ」

「手厳しいー仕方ねぇな」



冷たい何かは額からどけられて、ジーンとした痛みだけ残る。

明るさからするに、そろそろ昼だろうか。

…昼?

勢いよく起き上がって、サングラスをかける。



「おっはよう、黒、夢はどうだった?」



そこには、笑顔の神様と夢にも出てきた『モノ』が二つ、俺を見ていた。






悪夢≒現実
(ありえない事それは)
(良い夢が現実だったと言う事)
(ありえてしまう事それこそ)
(悪夢が現実だったと言う事)








――――――――――*
なにこれ←
凄い夢を見た人がいたので
少しお借りしたつもりが
…全く掠りすらしていない…よ
いつかリベンジしますが…まずは
これの言い訳でも…させて下さい

Q.どうしてこうなった
A.悪夢にしようと必死になった

Q.つまりどゆこと?
A.夢だと思ったら現実だったオチ

他言い訳は日記にします

ここまで見て頂き有難う御座いました!


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