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朝と夜の交代

 


これは古い古い、架空のお話。

異世界のどこかの世界で起きたお話。

とある、神様のお話。






昔々、とある世界に神様がいらっしゃいました。

その神様は音楽を愛し、世界を愛しておられました。

神様はパーティーを開いたり、人々とふれあったりしてとても慕われていました。

その世界を、太陽は力強く照らし、月は優しく見守る。

とても美しい世界でした。



しかし、ある日突然朝が来なくなりました。

太陽が出る時間になっても月が何食わぬ顔で空に居るのです。

朝が来ない日が続き、世界の人々はどんどん不安になっていきました。


『もう朝は来ないのか』

『力強い太陽の光が見たい』

『神は、どうされたのだろう』

『神に何かあったのだろうか』


人々は次々に不安を口にしました。

神様は、太陽が出なくなってから一度も、人々に姿を見せませんでした。

そして人々は、夜しか来ない世界に涙しました。



パタン



本を閉じる音が静かな部屋に響く。

座っていたソファーに読んでいた本を置いて、窓から外を眺める。

外は真っ暗、空には沢山の星の光ともう14日は丸いままの月。

この世界はさっき読んでいた本と、ほぼ同じ状態だった。



ある日突然、神様が屋敷から消えて太陽は昇らなくなった。

2,3日屋敷の中を探すと神様は、自分の部屋に異空間への裂け目を作っていた。

中には入れず、声しか聞こえない。

何かあったのか、と聞いても「ほっといてくれ」としか言わず出てこない。

一応影が料理を作って異空間に持って行く。

そして空になった皿を持って影が出てくる。

そうして神様が異空間に引きこもって既に2週間。

このまま太陽が出なければ、あの本のようになってしまう。

世界が、死んでしまう。

まだ先を読んではいないものの大体の想像はついていた。

神様が出てこなければ太陽も出てこない。



それならば

俺が太陽になろう

神に、なろう

そうすれば光が戻る



これ以上世界を闇の中においてはいけない。

神様が出てこないのなら俺が光になる。



プツッ、と自分の中で何かの紐が切れた。




急いで神様の部屋に向かう。



静かに部屋の扉を開け、異空間の裂け目の前に立つ。



「神様、聞こえてるか」

『…何だ』



不機嫌そうな声が返ってくる。

その声を聞いて、俺の口元は無意識の内に笑っていた。

笑みを浮かべながら、言葉を続ける。



「神様、出てくる気は、無いのか」

『…ねぇよ』

「俺は夜だ。神様が居ないと朝が来ない」

『朝が来なくとも死ぬ訳じゃねぇだろ』

「いいや、世界は死んじまう」

『お前が居るんだ、死にはしねぇよ』

「俺だけじゃ無理だ。闇だけじゃダメなんだ」

『じゃあ、仮に、戻ったとして俺は』

「…神さ」

『俺はまた赤と黒を見続けなきゃならねぇのか』

「そんな事はない。見なくたっていい」

『世界が、見ろと、言う。俺の意思なんて通りはしない』

「それでも、神様は今まで耐えてきた」

『もう嫌だ俺は、もう知らない何も、何も、何も、何も、俺は知らない』



捕まえた。

さぁ神の席、俺が貰おう。

順調に行き過ぎて思わず笑ってしまった。



「ハハッ…そう、か。じゃあもういい」

『……黒』

「そこまで言うなら、俺が世界を貰う」

『………く』

「俺の名前を呼ぶな。神様が出てこないなら俺が神様になる」

『…何、だって?』

「朝が来るようにする為に、俺は『黒神』じゃなくて『MZD』になる」

『…どういう、意味…だ?』

「そのままの意味さ。俺がMZDになって神様が俺に成り代わるんだ」

『俺が、黒に?そんなの…無理に決まって』

「無理じゃない」



どうやらマジックミラーのようになっているらしく、神様は俺の姿がはっきりと見えているみたいだった。

髪色を茶に変え、目の色を群青と水色のオッドアイに変えると神様は驚いていた。



『…!』

「神様がその世界に居続ける限り、この世界の神の座は空席だ」

『そこに、お前が座るのか』

「そうだ。そうすればまた、朝が来る」

『お前が、俺になるだと…!』

「…今から俺の名前は『MZD』だ」

『………せ』

「何か、言ったか…『黒』」

『…………せよ、黒…!』

「俺はもう、黒じゃない」

『出せよ』

「何でだ?もう、嫌なんだろう?」

『出せって、言ってるだろ!』

「無理だな。全知全能の神は2人も要らない」

出せよ…ここから、出せよ!俺の世界だ!お前にはやらねぇ!』

「もう、遅いんだよ『黒』」



笑いながら呟いて、異空間の裂け目を閉じる。

覚えてたら、また会おうぜ。


 ― 『黒神』


そして、神は、ゆっくり、静かに、部屋を後にした。





『黒神』の部屋に小さく開いた扉から、風が吹き込む。

誰かが読んでいたのか開かれたままの本は、パラララと軽い音をたててページが進む。





 ― 14日も続いた夜だけの日も

15日目に太陽が出た事で終わったそうな。

ただ、神様のお屋敷からは時々叫び声が聞こえるようになった。


「俺の世界を返せ」 と ―




朝と夜の交代
(そして数千年後)
(また2週間だけ夜が続く)
(朝と夜の交代が起きる)








――――――――――*
突発すぎるお話
設定丸無視ですねアチャー
では恒例(?)の内容の説明をば


最初は設定の黒神様と変わりは無いです
ただ、神になろうと思った瞬間
「プツッ、と自分の中で何かの紐が切れた」
ここで設定の黒神様とは別の人格に

一応この話での重要設定は
「世界が神を作った」
というものです

神が世界を作ったのでは無く、その逆
世界が神を作り、世界の意思に神は従います
だから神が使い物にならなくなると
世界は新たな神を作ろうとするのです
今回、それが黒神様だったという事ですね

閉じ込められた神様は時が経つにつれ
闇とどんどん同化していきます
そして千年経った頃から神様(黒神様)が
ふと、その異空間に行くのです

そしてここからは「今、幸せです。」に続きます
というかエンドレス

影(?)に関しては
神様閉じ込められる→闇と同化
→?神様見失って迷子→気付けば無の世界
→見つけてもらう=エンドレス

ループ恐るべし


そして書いた後で
神現「…何書きたかったんだっけ」
どうやら神現は色々ダメらしいですね
今更でした

ここまで見て頂き本当に有難う御座いました


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