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兄と弟

 


六とKKに会ってからは週に一度位、外へ出るようになった。

と言っても空を飛んで見下ろしてるだけだが。

まぁ、人間観察も悪くは無い。

今日もふらふらと飛んでいると人通りの少ない道で誰かが倒れていた。

行き倒れか、とそのまま放置して帰ろうと思ったが行き倒れた奴に子供が一人駆け寄っていた。

灰の髪に水色のマフラー、黒い肌に白い着物を着て首にはヘッドホンをしている。

一瞬、六かと思ったが明らかに色が違う。

しかし六と似たような格好をしていた。

髪型も心なしか同じように見える。

気のせいかとも思ったがかなり似ているので少し観察する事にした。




そいつは自分の二回りは大きい倒れてる奴を近くの公園に引きずって連れて行き、ベンチに転がした。

その際、頭を強か打ちつけたらしく目が覚めたのか倒れてた奴は頭を押え、痛がっていた。

バーカ、と心の中で笑いながら2人の観察を続ける。



痛がっている奴に六似の奴はおにぎりを3つ差し出していた。

それを見てすぐに食べ始める男。

よほど腹が減っていたのだろう、すぐに食べ終えた。

少しは腹の足しになったらしく手を合わせてお礼を言っていた。

もっと面白い事が起こるかと思っていたがそういう雰囲気でも無さそうだ。

観察にも飽きて帰ろうと歩き出した。

と、同時に。



パァン



下の方から銃声。

見るとさっきまで行き倒れていた奴が銃を俺に向けていた。

そして、ズボンの裾に丸い何かが通った穴が。

自分の服に穴を開けられ黙っているほど俺はお人好しじゃあない。

隣の六似の奴も俺に気付いていたらしくさして驚いていなかった。

何か言いたそうで、俺を狙って撃った理由も聞こうと仕方なく降りてやった。



「で、何の用だ?」



つまらなそうに声をかける。

すると六似が真っ先に返事を返した



「それはこちらの台詞だ」

「…へぇ、似てんな。て言うか本人か?」



瓜二つで本気で六かと思った。

色さえ違わなければ間違えてしまうくらい。

…いや、でもちょっと身長が低いな。

そんな事を考えていると眉間にシワを寄せて六似が声をかけてきた。



「…誰だって?」

「六って奴」



俺の言葉を聞いて一瞬驚いた表情をするも、すぐに無表情になった。

さっきからコイツは何で俺に殺気向けてんだ?

先ほどからピリピリと伝わる殺気を不思議に思いながら会話は続く。



「兄を、知ってるのか」

「兄?なるほど、兄弟ね…こんなに似てるのも納得だ」



とりあえず気になってた事は分かった訳だ。

普通こんなに似るもんなのか、は愚問だろうな。

一人納得していると横から行き倒れが割り込んできた。



「まぁまぁ、質問答えれば?」

「で、お前は……見た事のある顔だな」

「てぇ事は、KKの知ってるんだな」



…なるほど、兄弟だな。

行き倒れてるって所が似てる。

兄弟揃って金欠なんだろう。

茶のキャスケットに後ろで軽く結んである金髪、地味な色合いのハイネックとジャケットにズボン。

何と言うか…地味だ。

そんな事を考えつつ言葉を返す。



「成り行きでな。そういうお前はアイツの兄、か?」

「ご名答。にしても神様は覗きが趣味だったなんてな」

「神様は家だアホ。それに覗きじゃねぇ、人間観察」

「…似たようなもんだろ」



覗きと観察は違うだろ。

と、ツッコミを入れたくなったが面倒なのでやめる。

もう一つ、気になっている事を聞いてさっさと帰ろうと思った。



「ま、とりあえず俺を狙った理由聞こうか」

「いやぁ、単なる不審者かと」

「たかが人間が空飛ぶか」



適当っぽいKK似の言葉にツッコミを入れる。

まぁ、神様ならやりかねないんだが。

と、遠慮がちに六似がこう言った。



「…兄が『バ神が覗きしてたら容赦なく殺れ』と」

「六の入れ知恵…ね」



思わず納得してしまった。

まぁ覗きと言うかたまに暇つぶしと称して外へ出ては密かに色んな所を見て回る。

何故か物陰やら木の上やら草の影やらに隠れて。

本人が言うには「やっぱひっそりと見守りたいじゃん」らしいが。

大方、六はそれを体験しての事だろう。

六は神様だけ扱いが酷いから。



「なんて言うか物騒だなお前の兄貴」

「不審者相手に昼間から銃ぶっ放すお前も物騒だけどな」

「あら、冷たいのね神様」

「神様じゃねぇっつってんだろ」



どうもコイツはいちいち勘に触るな。

喋り方とか態度が。

てか、もしかしてコイツ無職か?

だから弟が…。

と、勝手に考えておきながら少しKKが不憫に思えた。



「じゃあ名前」

「お前らが名乗れ」

「えー」

「なら帰る」



もとより名前なんてどうでもいいし。

さっさと帰ってコタツに入って寝たい。



「あ、ちょ、俺AKねMr.AK」

「えーけぇー?」



何だその適当感漂う名前は。

と言いそうになったがあえて言わなかった。

絶対適当だろうから。



「そそ、弟のちょっとパ…真似てみたんだけど」

「(パクったのか)…本名」

「そこは聞いちゃ駄目だって」

「……で、そっち」

「…黙だ」

「ふぅん…やっぱ兄弟って似るもんなんだな。じゃ」

「な、ま、え」

「……しつこい男は嫌われるぞ」

「俺ら名乗ったんだからいいじゃん」

「…黒」

「何か、シンプルだな」

「それを言ったらKKと六もシンプルだろ」

「そりゃそうだ」

「じゃあな」

「あ、待った」

「…何だよ」

「KK知らね?一昨日から家帰ってこねぇんだよ」

「確か家に帰りたくないとか言って神様の家に居座ってるぞ」

「…もしかして兄もか?」

「六もいるな」

「ふーん…そっかそっか…よし、ちょっと血祭りに」

「仕方ない…連れ戻すか…」

「とりあえず家を破壊するような真似はすんなよ」



そして何故か2人を連れて家に帰ることになった。

家に帰ったら…まぁそこは想像に任せよう。

主に暴れてるのはAKとKKだったがな。









兄と弟
(…黒、何とかしてくれ)
(無理)

(うお、ちょ、んなもん振り回すなAK!)
(お前は俺に死ねってかぁぁぁ!)

(…兄、帰るぞ)
(…嫌だ)

(何なんだこの兄弟共は)








――――――――――*
とりあえず2人を出したかった
ちなみにAKさんは家事とか出来ません
なんてったってマダオだから
家事をやらせたら火事にry
六と黙は静かなる攻防
神様の家は豪華だから居心地最高なんですね
影の料理も美味しいしと至れり尽くせり
矛盾は例の如くスルーで

ここまで見て頂き有難う御座いました。


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