無
らん、らんらん、らん
何も無い世界で歌っていたんだって
僕はただ一人で
歌っていたんだって
でもね
ぼくは知らないんだ
どうして歌っていたのか
どうして一人だったのか
どうしてぼくはいたのか
ぼくってなんだろう
ぼくはあるの?ないの?
あるってなんだろう
ないってなんだろう
ふしぎだね
(有が無いなら無が有る)
(無が有るなら有が無い)
(無が無いなら有が有る)
(有が有るなら無が無い)
ねぇ
ある と ない って
なんだろうね
≪かみさまー≫
「おー?どうした影」
≪あのね、おほしさまがね≫
「ん、星がどうした」
≪おほしさまがね、ぼくをいじめるの≫
「星が?」
変なことを言い出すもんだ、と思った。
星はこの星から見て遠い遠い浮いてるものだから。
言葉なんて届く事すらないのに。
でも心なしか影…もとい?は寂しそうに語りかけてきた。
≪そうなの、おほしさまがいじめるの≫
「誰を、いじめるんだ?」
≪ぼくだよ。ぼくはないもの、ないものって≫
「?が、無いもの?」
?が無いものとはどういう意味だろうか。
確かに今ここに、居る。
俺の目の前に有るのに。
?は無の世界から連れてきたが、そこに「有った」。
何も無い世界にただ一つ、有ったのだ。
その?が無いもの、と…。
とても不思議だった。
神である俺が全く分からないほどに。
≪ねぇ、かみさま≫
「何だ、?」
≪ぼくは、あるもの?ないもの?≫
「有るもの、に決まってる」
≪かみさまはぼくをぼくであることをゆるしてくれる?≫
「当たり前だ。お前がいなきゃ、俺は傾いちまう」
≪そっか…ぼく、ねむい。かみさまいっしょにねるー≫
「おお、こいこい」
幼い子供のようにベッドに潜り込む?を見て親になった気分だ。
まぁ?の親は俺だけどな。
俺の背中にぴったりとひっついてそのまま寝てしまった。
寝返りを打たないよう、気をつけながら俺も眠気に誘われるまま目を閉じた。
さぁ、不思議な夢を、
―――――♪
―――――――♪
――♪
――――――――――♪
――――♪
―――――――――♪
――――――♪
―♪
音が聞こえる。
綺麗な、それでいていつ途切れてもおかしくない音。
この音に聞き覚えがあった。
この音は、あの日
らん、らん、
何も無い世界でただポツンと
何も分からないまま
音を紡いでいる 『影』
俺は神だから、世界の始まりの音を紡ぐ
でも、それは
世界の終わりの音を淡々と紡ぎ続けていた
まるでこの世界を消し去ろうと言わんばかりに
そうだ、これは?と出会った日
偶然何も無い、何も創られていない世界を見つけて好奇心で見にいった時の事
空間のど真ん中で寂しそうに楽しそうに音を紡ぐ?を見つけたんだ
その?の音が綺麗で切なくて
色んなものが混ざった、けど濁りの無い音で
思わず話しかけたんだ
「綺麗な音、出すんだな」
≪―――――?♪≫
「…喋れねぇのか?」
≪――――?♪≫
「お前何で、そんな音を奏でられるんだ?」
≪―――?♪≫
時折乱れた音が返ってくるだけで何も答えなかった。
そのまま、俺も喋らずただ音を聞いていた。
暫くして世界が崩れ始めた。
この終わりの音でこの世界の存在そのものが消え始めたのだ。
このままここにいると俺もコイツも一緒に消える事になる。
俺は迷っていた。
俺の世界へ連れて行くべきか、否か。
このまま音を紡ぎ続けるなら俺の世界も無に帰してしまう。
だが、俺は始まりを創る事が出来る神。
無に帰してしまうなら同じように創り直せば良い。
そうしよう。
そう考え、影を引っ掴んで無の世界を飛び出した。
俺の世界に戻った時、音は聞こえなかった。
とりあえずどうするか考えようとすると袖を引っ張られた。
≪―――――?≫
「別に取って食やしねぇよ」
≪――――?≫
「そうだ、お前俺の影にならねぇか?」
≪―――?≫
「そうすりゃお前の音も多少なり制御出来るだろうし」
≪――?≫
「まぁ、お前がこのまま『有』り続けるか『無』くなるか、だ」
≪―――――♪≫
「…そうか、じゃ、これから宜しく」
≪――――♪≫
「そういや、名前、あるのか」
≪―――――?≫
「無い、か。…なら、そうだな…?、はてな」
≪―て―?≫
「お、喋ったな?よし、言葉がちゃんと使えるように教え込んでやるよ」
≪―――――♪≫
それから言葉を教えて、拙いけどちゃんと言葉を使えるようになった。
俺の影になって、無音も出なかった。
そうだ、?は有る
ちゃんと、ここに
俺の所に
無いものじゃない
有るものだ
―――――――――♪
―――――♪
―――――――♪
あるものないもの
ないものあるもの
ふしぎだよね
無が無いんだよ
有が有るんだよ
無が有るんだよ
有が無いんだよ
ことばってふしぎ
もし、ことばがなかったら
どうなってるんだろう
無も有もあらわせない
すべてがこんとんのうずのなか
しろとくろとあかとあおとみどりと
ぼくはあるもの?ないもの?
ぼくはあるもの、ないもの
ぜーんぶあるものないもの!
ぜ んぶ るも な もの!
ん も な の!
!
―――――――――――ぷつん
―――――ぷつ
でもそれは全て
神の掌の上のお話
無意識な神様の掌の上のお話
ぼくたちは
あるもの?
それとも
ないもの?
無
(それは残酷で、とても綺麗な音)
(全てを無かった事にする音)
(そして全てを惹きつける音)
(神をも、魅了する)
(無音)
――――――――――*
訳分かりませんね
まぁ、にえええ聞いてるから仕方ない
にえええを聞いてると不思議になります
頭がちょっとパーンする位
そして変な事が頭に浮かんだり
らんらん
すまいるあんどくらい
ゆーあんどみー?
ここまで読んで頂き有難う御座いました。
prev / next