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初めて外に出る事になった。

神様が「少しは見て来い」って言うから。

仕方なく。本当に仕方なく。

やっぱ出るんじゃなかった。





いつもの服に青いマフラーをして、黒いコートを羽織って。

半ズボンだけど寒くは無い。

一応神の端くれだから。

だったらコートも要らないだろって、神様に言われた。

何となく姿を隠したいから、と答えた。

そしたら神様は笑って

「別にお前を苛めたりする奴はいねぇよ」

と言った。

分かってても何か怖いから。

そのまま、外へ出た。






商店街をうろついてた時。



「おーい」



声をかけられた。

神様と影以外に知り合いなんて居ないし

聞いた事のない声でもあったから無視する。



「……………」

聞こえてねぇのか…?おーい!」



また声をかけられた。

しつこいな…。

ちょっと眉間に皺を寄せながらスタスタと歩き続ける。



「………」

「おい、無視すんなよ」



何か知らないが気付けば後ろにいた。

さっきの声を聞くとかなり距離があったように聞こえたが。

そこら辺はあまり気にしないようにした。

で、しつこいのでぶっきらぼうに返してみる。



「…何だよ」

「何だよ、は無いだろうバ神」



バ神?バ神ってもしかして神様の事だろうか。

確かずいぶん前だが、神様がふざけながら嘆いてた事があった。



―「六が俺の事『バ神』って呼ぶんだよ…そんな子に育てた覚えないのに!」



もしかして、コイツが六って奴なんだろう。

勝手に決め付けて歩きながら言葉を返す。



「残念ながら俺はお前の顔を知らねぇ」

「…お前…頭でも打っ」

「更に残念ながら俺は怪我はしてねぇ」

「そういえば髪が黒いな。染めたのか」

「元々だ」

「もしかしてお前、MZDじゃない…のか?」

「その通り」

「それは悪い事をしたな…。瓜二つでつい」

「ちなみに神様は家でグータラしてたぞ」

「そうなのか…よし、じゃあな」

「………」



何を思ったのか家の方へ向かう水色頭。

目は赤かったし、第一印象は色々変わった奴だった。


そんな事があった後、何か負のオーラが漂う路地を見つけた。

神様がこれを見たら避けるんだろうな。

もしくはオーラを消そうとするんだろうな。

とか考えながら路地へ入っていく。




何かと暗い。

雰囲気もそうだが、やはり日の光が差し込まないのもあって暗い。

まぁ、別に暗かろうが明るかろうが関係ないが。

そのまま奥へ進んでいるとまた声をかけられた。



「ちょっと待った坊ちゃん」

「…………」



何と反応していいか分からなかった。

坊ちゃんとか初めて呼ばれたからだ。

とりあえずスルーして奥へ進もうとすると

肩を掴まれた。



「ちょ、聞いてる?」

「……何だよ」



触られたのもあって不機嫌そうに返す。

立ち止まったからか、ソイツは手を離した。



「おっと、悪いな。こっから先は立ち入り禁止だぜ」

「そうか、忠告どうも」

「おぉ…って行こうとしてんじゃねぇよ」



立ち入り禁止とかが俺や神様に通じる筈も無い。

だって神だから。って一回言ってみたい。

引きとめようとしてソイツがまた肩を掴んだ。

思わず殴りそうになった。

普通の人間なら当たってるんだろうが。

ソイツは避けやがったんだ。



「危ね…裏拳とか痛そうだよな」

「知るか。とりあえずお前が何を言おうが俺は行く」

「いや、だから」

「別に何があろうと驚きはしねぇよ」

「そういう問題じゃねぇっつの…」



どうやら諦めたらしく止めようとはせず、煙草に火をつけて吸ってた。

気にせず俺は奥へ歩を進める。

そこには赤く染まったコンクリートの道にレンガの壁。

鉄の匂いが鼻を突いた。

だけど、それを見て表情を変える訳はなく。

その先が行き止まりと知って、踵を返した。



「で、感想は?」

「別に驚きはしねぇっつったろ。あんなん見慣れた」

「へぇ、そりゃ凄い」

「じゃあな」

「ちょいちょい、あんた、ポップンパーティーの主催者だろ」



また間違えられた。

そんなに神様に似てるんだろうか、俺。

まぁ、別に分かってはいるが。

髪色に目の色が違うだけで、見た目は一緒なんだ。

面倒くさいと思いつつ言葉を返す。



「残念ながら違う。本人は家だ」

「あれ、よく似てんなぁ」

「そりゃどうも。じゃあな」

「おーまたな」



「またな」?

またどこかで会うと決まってんのか?

いや、そんな事は無い。

だって俺はもう外に出る気が無いから。



と、思っていた俺の考えは家に帰った瞬間、見事ぶち壊された。







(何で…何でだ神様…)
(おー黒お帰り。早かったな)
(早…十分外に居たと思うんだが)








――――――――――*
黒神様、初めてのお使い
違いますねハイ
とりあえず誰だか検討はついたでしょうかね
難しいよ六とか六とかオジサンとか
さて、弟と兄はいつ出てくるんだろう
何故か続くよ!

ここまで見て頂き有難う御座いました。


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