PM | ナノ



 


「神様、夕飯出来…何だ、取り込み中か」

「いや…そうでもない」

「終わった所か」

「あぁ」

「派手にやったな…影だけじゃ大変そうだし俺も手伝うか」

「ん、悪いな。気にしてなかった」

「もし寝る前になっても片付かねぇと俺が困る」

「…そうか。ありがとな」

「あーはいはい。で、飯食べるか?」

「ちょっと一人にさせてくれ」

「了解。出来れば早く降りてこいよ」



静かに黒が部屋を出て行く。



パタン、と扉が閉まった音を聞くと同時に体の力が抜けてその場にへたり込んだ。



また、殺ってしまった。



抑えられない。

この衝動だけ抑えられない。

今は泣いたり怒ったり笑ったりする事もあるけど

時と場合により抑えられる。


でも、それでも

この衝動だけは

抑え付けられない。


俺の世界だからって
俺が神様だからって

何で簡単に命を消しちゃうんだ


俺の世界だからこそ愛でるべきなのに


分からない




俺は、どうして




部屋の真ん中

血溜まりの中に浮かぶ赤い『もの』

もはや原型の分からない『もの』




毎回毎回、見る度頭を抱えてしまう。

薄暗い部屋に飛び散る赤い液体

昔の記憶を呼び起こす鍵になるだけなのに。



何故、いつから、なんて記憶は無い。

気付けば血の海の真ん中に突っ立ってる。


そして、こうやって頭を抱えて。


赤い、黒い、感情が、近づいてくるよ。




意識はそこで消えた。




――――




神様を呼びに行って1時間。

あまりに長すぎる。

何があっても食事は呼びに行って30分以内に来るのに。

少し心配になって影と一緒に神様の部屋へもう一度行ってみた。



扉を、開ける。

その先には。



ピチョン
 ピチョン
  ピチョン
 ピチョン
ピチョン



液体の雫が落ちる音が響く

音の方へ目を向けると



血に塗れたナイフを右手に

左手の手首を突き刺し続ける


ほぼ赤い神様が居た

服の色はもはや血の色で、髪や顔にも返り血を浴びている。

手は勿論真っ赤。

靴も赤黒く染まっている。


何があったのか、と聞く前に神様が俺たちを見た。



「ん…黒と影じゃねーか。どうした?」

「どうしたもこうしたも…神様がどうしたんだよ」

≪かみさま、だいじょうぶ?≫

「俺は平気だぜ?」

「…痛覚が麻痺してんのか」

「そう…かもな」

「しかし…呼びにきた後何がどうなってこうなるんだ」

≪はやくおりてごはんたべようよ≫

「まぁ待てよ。あと少しなんだ」

「何がだ?」
≪なにが?≫

「あと少しで、心が、赤と黒に」



赤と黒

神様が嫌う心の色

服装や雰囲気は嫌いじゃないが

心の色としてみた赤と黒は本気で嫌っていた。

口にする事も無かったのに。

神様の口元は笑みで歪んでいた。



こんな事は無かった。今まで一度も。

このままじゃ、きっと



『壊れてしまう』



とっさに神様を抱きしめた。


今の神様は、怯えてるんだ。

衝動を抑えられなくて、いつも気付けば血の匂いがして。

この世界の神であり、この世界が大好きなのに。

自分のせいで命が消えた事を悲しんでるんだ。

それが、心を蝕んで、また…昔のように…。

もうあの暗闇には閉じこもらせない。

今のこの世界にとって神様は光だから。

神様が居なくなれば世界は闇のみになる。

そうなればもし出てきた時に神様は、本当に壊れてしまうから。



元に戻ってほしいと願いながら強く抱きしめる。


神様は動揺しているのか動かない。



「…黒?」

「何だ神様」

「お前が何してんだ」

「神様、これ以上壊れてくれるな」

「何言って」

「知らない内に手から服から体中から血の臭いがするんだよな」

「…!」

「それは神様のせいじゃねぇ」

「でも俺が」

「神様のせいじゃねぇ。悪いのは赤と黒だ」

「それでも」

「頼むから、これ以上自分を責めんなよ…」

「黒…」


≪くろかみさまずるい!ぼくもー!≫


影もぼーっとしていたがようやく現実に戻ってきたのか、そう呟くと神様に抱きついた。

俺は前から抱きしめている。

だから必然的に背中からしっかりと。


≪かみさまだけくるしまないで≫

≪ぼくだって、かみさまをささえられるんだから!≫


「影…」

「影も居るし、俺も居る。それに、神様主催のパーティーを楽しみにしてる奴もいるだろ」

「…………」

「俺は神様の事は何でも知ってる。でも神様の心の内まで知ってる訳じゃねぇんだ」

≪ぼくもかみさまのことならなんでもしってるもん!≫

「…だから、何かあったら俺達に相談でも何でもしてくれよ」



「神様を、支え続ける為にも」

≪ぼく、かみさまといっしょならがんばれるよ≫



「…そう、か…そうだな」



ずっと手に握っていたナイフが床に落ちた。

そうだ、俺の傍には黒と影がいるじゃないか。

それにポップンパーティーで出会った奴らもいるし。

何を悩む必要があったんだ。

俺がどうにも出来ない事なら黒と影に頼めばいい。

そうすれば、いいんだ。

そうさ、俺は、もう一人じゃ無いから。



「ありがとう」



「…別に」

≪どういたしましてっ≫




心がとても軽くなった気がした。


左手首の血は、もう止まった。





(俺は一人じゃ生きていけない)
(こんなにも必死に支えてくれる奴がいるから)
(俺は、頑張れるんだ)







――――――――――*
何か途中で何を書きたいのか
完全に見失いました
?もとい影は子供なのです純粋なのです
だからたまに黒い事をサクッと言います

黒神様と?に「守りたい(大切な)人は?」
と聞いたらこう即答します
「神様」≪かみさま≫
愛されてるね神様!

長々失礼しました。

ここまで読んで頂き有難う御座いました。


prev / next

[ back to top ]



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -