第115χ Ψ高の玉の輿?!御曹司現る!(中編)A




今日はなんて日だ。

転校生がやって来たと思えば、照橋さんを俺のものだと宣い、女子トイレを男子トイレに変えてしまった。同じ階に男子トイレは2つも必要ないだろう。

その程度なら僕が害を被るわけではないから、見過ごそうと思っていたが...照橋さんの本音まで引き出してしまうとは。

「この学校の...斉木くんが好きなの!!」

嫌な予感を感知して慌てて照橋さんの元に駆けつけてみれば、僕はとんでもないところに足を踏み込んでしまったようだ。
僕一人ならギリギリ聞き流すことは出来たのに、そこに平凡さんがいるなんてな。
照橋さんの言葉に石像のように固まっているじゃないか。

「ち、違うの!!これは告白を断る為の口実でたまたまその...ね!?だから本当...斉木くんも、平凡さんも...!!」

とりあえず照橋さんが眠っていて欲しいようだから、僕は普段は出しもしない鼻提灯を出して眠りこけるふりをする。

寝てたー!!それに平凡さんは石像になってたー!!
て事はさっきの話は聞かれてないのよね!?良かったー!!

そんな訳ないだろう。
僕がこの場で寝たふりするのも無理があると言うのに、平凡さんが石像になっただと?照橋さんのご都合主義的解釈には度々驚かされるぞ。

「...というわけで理由はさっき言った通り。あなたとはお付き合い出来ません。ごめんなさい。」
「...フッ、俺様よりその根暗貧乏を選ぶのか。...まぁいい。勝手にしろ。」

良かった...意外にあっさり引いてくれた。

まさか、あの坊っちゃんが簡単に引くわけがないだろう。金持ちと言うのは、多くは自分の思い通りにならない事はないからな。今回のはさぞかし屈辱的だっただろう。

やれやれ...関わらなきゃ害はないと思っていたがまさかこんな早く関わる事になるとはな。更なるとばっちりが僕の方まで来なければいいが...。

しかし、僕の切実なる願いを嘲笑うかのように事は水面下で進んでいた。


翌日、いつも通りの時間に学校へ登校すれば何やら教室内がざわ…ざわ…と何やらざわめいている。
今度は顎の鋭い転校生でもやってくるのか?この小説は賭博を題材にした作品じゃないんだぞ。

「窪谷須くんが捕まった!?」
「才虎のボディーガードへの暴行罪だ。あっちから手ェ出して来たのに...。」

どうやら顎の鋭い転校生がやってくるより深刻な話題じゃないか。
流石、才虎。まったく手を打つのが早い事だ。
黙って話を聞いているとどうやら才虎の報復を受けたのは窪谷須一人だけじゃないようだ。

照橋さんの兄である六神通こと照橋信は、思いもよらぬスキャンダルでマスコミ対応に四苦八苦している。

海藤は急な父親の転勤でシベリアに行かされるようだ。奇遇だな、昨日僕も僕の父もシベリア勤務が決定したんだ。シベ高で同じクラスになれるといいな。

目良さんは電気水道を止められ、燃堂は買ったジャンプに鼻クソが...これは才虎とは関係ないだろう。

「そう言えば、平凡まだ見てねーな。珍しく休みか?」
「あれ?今日来てたと思ったんだけど。」

キョロキョロと全員で辺りを見回すも、彼女の姿を一向に見つけることができない。
そもそも彼女の席に鞄がない…ということは学校自体に来ていないということだ。
平凡さんに限って、無断で学校を休むなんてあるわけがない...もしかして。

「お?そー言えば、昨日帰り道ですげー黒くてなげー車見かけたんだけどよ。多分乗せられてたの平凡だぜ。アイツんちも金持ちだったんだな。みずくせーぜ、まったく。」

...オイ燃堂。そういう事は早く言え。
やれやれ...相手が悪かったのはどっちかあの坊ちゃんに教えてやらないとな。

To be continued...





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