第70χ Eternal Diamond Veronica @
私と楠雄くんは鳥束くんの招集を受けてとある教室に来ている。
彼曰く、私達に見せたいものがあると言う。それは辿り着いた部屋を見るだけでおおよそ把握することができた。部屋に置かれていたのはドラム、ベース、ギターなどの楽器で、これから連想できるものは一つしかない。
「斉木さん!文化祭で俺とバンドやりませんか!?」
急に何を言いだすかと思えばバンドへの勧誘だった。それもお目当ての人物は私ではなく楠雄くんらしい。なら、私は不要だとクラスの教室に戻ろうとすれば鳥束くんによって阻止されてしまった。
「仁子ちゃんは俺達のやる気向上に貢献してもらうために居てもらうっス。」
「つまりは何もせず眺めていればいいってことね。」
なんと面倒な。そんなことでしかやる気が出せないならいっそやめてしまった方がいいのではないかと思う。それにやる気を出すなら私より照橋さんの方が適任ではないだろうか。それを言ったら照橋さんじゃおっふして楽器が手につかないということだ。...私はここに遺憾の意を表明する。
仕方なくそこに留まれば、鳥束くんによって軽くメンバーの紹介が行われた。
まずはベース担当のTAKERU。知予ちゃんの元カレだ。これで説明は十分だろう。
続いて、ベース担当のTAKAYUKI。うちのクラスで見かけたことなかったから恐らく他のクラスの人なのだろう。一番まともそうに見えるのに、どうしてここに来たのか甚だ疑問である。
最後はドラム担当のSHINYA。ドラム担当と言われてしっくりくる感じのぽっちゃりさが特徴だ。服の着方には問題があるように見えるが、ここはあえて突かないようにしようと思う。
「そしてヴォーカルのREITA。四人合わせてエターナルダイアモンドベロニカです!!」
バンド名が下手に海藤くんを笑えないレベルで意味がわからない。もしかしたら中二病とバンドマンはそう変わらない性質を持つものなのかもしれない。はぁ...と気の抜けた声が出てしまった。
一通り説明を受けたら楠雄くんはスタスタと帰ってしまった。慌てて鳥束くんは追いかけに行って...私は得体の知らない3人と部屋に取り残されてしまった。
じっとこちらに向けられた視線が痛い。とりあえず場繋ぎに3人のバンド経験歴でも聞いてみるも誰も、経験がないことがわかった。
それに加えて、TAKERUはボーカル希望だったのに顎が外れるからとギターに移されて、TAKAYUKIはベース担当にも関わらず、未だにベースとギターの違いがわからない。SHUNYAは音ゲードラム専門のようだ。
そんな彼らがなぜ集まったかと言えば、女子にモテるためだと言う。話を聴いているうちに頭が痛くなって来てしまった。こんな状態でバンドをやろうと言う神経が私には信じられないことだ。
けど、やる気があるならやってみるのも学生の醍醐味だろうし、私も出来得る限りサポートはしてあげたいと思う。この場にある楽器に関して基礎ぐらいはできる程度には嗜んでいるつもりだ。
勝手に練習をするのもアレだし、まずは何をすればいいのかは鳥束くんに相談するとして...二人はまだ戻ってくる様子はない。もしかして二人とも帰ってしまったのだろうか。
*まえ
つぎ#
もどる
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -