第69χ 第31回PK祭出し物提案会@




いよいよ一ヶ月と迫った文化祭。
うちの学校では文化祭は秋に催されて、一般公開日もあって毎年中々の盛り上がりを見せている。近所でもPK祭は好評なようで、どのクラスも気合が入る季節でもある。

私は勿論...興味がない。
単純に面倒だと感じるからだ。他クラスの出し物を見に行くのは嫌いではないけれど、自身がそれをやる立場になるなら話はまったく別だ。
気が重いなと思いながらちらりと横を見れば、楠雄くんはなんだか瞳虚ろにしてどこか悲しげな表情を浮かべている。うん、凄く楽しみのようで何よりだ。

今日のLHRではその文化祭に向けての出し物を考える時間になったのだが、どうもクラスの意見が纏まらずにグタグタになりかけている。
各々、放課後は部活があるから飲食店のような大規模になる作業には参加できないやら、それなら展示と提案してみても放課後作業には参加できないと好き放題だ。

こんなことでまとまるはずがない。唯一の妥協案として出されたのが、校庭に落ちている面白い石を展示。単なる展示だから店番もいらずに当日は自由行動出来る時間が増えるということで話がまとまりかけたのだが...そうは問屋卸さないならぬ、そうは灰呂が許さないだ。

「校庭で拾った石の展示!?バカにしているのか君達は!?魂燃やしていけよ...!!もっと熱くなれよォオ!!!」

涙まで流して相変わらずの熱いキャラには恐れ入る。おかげでみんなはやる気を出したようで、再度出し物について検討されることとなった。

出された案を簡潔にまとめると以下のようになる。
灰呂くんからは五万羽鶴。
高橋くんからはメイド喫茶。
知予ちゃんからは女装メイド喫茶。
照橋さんからはプラネタリウム。
目良さんからは焼肉。
窪谷須くんからはお化け屋敷。

どれも文化祭らしいがやり尽くされた感が否めない。っかく上がった士気も案が出されるまでの間に段々と落ちてきてしまい、再びグダグダな空気になりかけている。

「つーか、いい加減決めねー?」
「私、部活行きたいんですケドー。」

選択肢も多いせいで票も纏まらずに、無意味に時間だけが過ぎてゆく。もう最初の石の展示でいいと思うのだが決定打がいまいち足りていないようだ。
こんな時に隕石なんて降ってきたら即決になるだろうに。宝くじが当たるより確率が低いのだから、そう簡単に実現なんてするはずがない。...何らかの意図的な操作がない限りは。

そんなことをぼんやり考えていれば、空けておいた何かが窓から高速で飛び込んできた。その衝撃で近くにいた人の机は衝撃で吹き飛ぶわで、クラス内が騒ついている。

「なな...何だァ!?外から何か飛んできたぞー!!」
「こ...これは...い...隕石だー!!」

なんとクラスに飛んできたのは紛れもない本物の隕石のようだ。まさかこんなピンポイントな場所に飛んでくるなんて。しかも幸いにも隕石による怪我人は誰一人いない。まったくの奇跡だ。
まるで文化祭での出し物をこれだと促すような...私が冗談で思ったことが叶ってしまった。私はいよいよ超能力者にでもなってしまったのだろうか。それとも神の悪戯か。

何にせよ、この隕石をうちのクラスの展示の目玉として校庭で拾った石展に無事決定した。
校庭にそんなに幾つも面白いものがあるような気がしないのだけれど、決まったのならちゃんと参加するのが私の流儀だ。

先に誰かに取られない内に私と拾いに行かなくちゃ!!





*まえ つぎ#
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