第32χ JFに行って来ましたA




私達が次に訪れたのは原画ブース。
WJに実際に掲載された漫画の原画が多数展示してある。普段は見ることができないとても貴重なものなのだ。やはりここも人が多くて人気作品となると人集りが出来ている。

楠雄くんがピタリと立ち止まって何かをじっと見つめている。なんだろうと見てみれば、その原画はWJの中でも最も人気なあの◯NE PIECEだ。
原画は今にも動き出しそうなくらいの躍動感を感じる...印刷物と同じものを見ているはずなのに。違いといえば紙の質と修正のホワイトが目に見えるくらいだ。そこから作者の情熱やら勢いが見えるからこそなのだろうか。なんとも不思議な気分になる。

この後屋台村に行って作品をモチーフにしたデザートなどを堪能し、ようやく目的のお遣いへ。
そこに向かったはいいが目的のものは売り切れていた。一体何を買いたかったのか楠雄くんの持つメモを見てみれば、海藤くんお気に入り作品であるO.P.C.のストラップだった。お遣いメモの隅によろしくと人の顔らしき人が書いてあるのがおばさんらしくて、ついふふっと笑ってしまった。

グッズがないなら仕方がない。JFは一通り堪能できたしあとは帰るだけ。帰り道を探して辺りを見回していると小さな男の子が泣いているのが見えた。
海藤くんが近寄って声を掛けている。彼は本当に面倒見がいいと思う。前の幼女のときもそうだったし。
少年に事情を聞いてみれば母親とはぐれたとのこと。こういう大きな会場ではよくあることだけれど...あ、迷子センターに連れて行こうとしたら知らない人にはついて行かないと断られた。今時ちゃんと教育された子供がいるのだと思わず感心してしまった。この子はきっと将来有望です、お母さん。

それでも放っておけないのか、海藤くんはいい事を思いついたとどこかに行ってしまった。
しばらく待っていれば、S.S.S.の格好をして戻ってきた。漫画のキャラなら気を許してくれるのではないかと思ったのか、海藤くんも中々考えたと思う。
けれど、少年のガードが固くて中々迷子センターに連れて行くことができない。しかも、本物かどうかまで疑われている。そもそも現実に漫画のキャラがいるわけがないのだけれど。

本物だと証明しようとS.S.S.の技を発動するようにマスクを外す海藤くん。すると彼の身体がカッと輝いて、私は思わず目を瞑ってしまった。
それに気づいた母親が来てくれて、無事迷子はお母さんの元に帰ることができた。よかったね、たくちゃん。
それにしてもどうやってあんな仕掛けを作ったのだろうか。コスプレも凝りだすと技もそれなりに使えるようになるのだろうか。レイヤーさんって凄いなぁ。

こうしてJFを堪能して帰路に着く。
人混みは大変だったけどすごく楽しかった。また1つ楠雄くんと思い出もできたし。また行けたらいいな。勿論、楠雄くんと。

みんなも一度はWJに行ってみよう!





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