第28χ 占いはお好きですか?@




「すぐそこに出来た占いの館!」
「あー!知ってる!超当たるんだって?」

うちのクラスは空前の占いブームで、近所によく当たる占い屋が出来たこともあって今日の運勢はどうだやら、その占いの効果がどうだと朝から賑わいを見せている。

勿論、私は前も述べたようにそういうものの類は信じないので、まったく興味が湧かない。そもそも占いと言うのは諸説あるが、日本古来からある八百万の神の信仰が土台としてあって、信仰している代わりにどうかお願いを聞いてくれないかと言う等価交換があって成り立つものなのだ。
普段から信仰もせずにいきなり人間が占いにハマりだして、どうこう言うのはあまりにも傲慢ではないかと私は考えてしまう。今では占いは娯楽の一種になっているのだから仕方がないのだろうが。

今回は楠雄くんも興味無さそうに教室にいる。ふむ、霊には興味あっても占いには興味ないようだ。中々彼の好きなものが掴めなくてモヤモヤとしてしまう。私にとったら占いよりこちらの方が何倍も興味惹かれるよ、まったく。

楠雄くんと同じく、海藤くんや燃堂くんも信じていないみたい。あまり占いと騒がないようだし。燃堂くんはジャンプの方が大事らしい。それは私も同意だよ、燃堂くん。
私の中では海藤くんが一番に食いつくと思ったのだけれど、どうやら的が外れていたらしい。相変わらず考えていることはダークリユニオンのようだけれども。

あっという間に下校時刻となり、私も鞄を担いで通学路を歩いて行く。朝はまったく気にならなかったけれどある店に行列ができているのが見えた。あれが今噂の占いの館なるもののようだ。行列はやはり女性が多く、順はまだかとそわそわする人や、占いを終えて嬉しそうにはしゃぐ人などがいた。

その行列の中に珍しく男子の姿が。しかも、ズボンの色からしてうちの...髪の色もすごく見覚えがある。マスクとサングラスしていても誰だかは一目でわかる。だって、毎日目にしている人だから。

「海藤くん、占いに興味あったんだね?」
「う、わぁっ...なんだ平凡か。こ、これはだな!ダークリユニオンに狙われている可能性があるからい、一度確認しておこうと来ただけだ!」

相変わらず君は嘘が下手だね。素直に占いに興味があると言えばいいのに。そう言うところ男子というものは面倒だと感じる。男のプライドなのだろうか。しかし、海藤くんが占い好きだろうとダークリユニオンの調査だろうと別に構わない。私は家を目指すだけ。

「次の方、どうぞ。」

中から年配女性の呼びかける声が聞こえてきた。いつの間にか私達は行列の先頭にいたらしい。
私は海藤くんに帰る旨を伝えて立ち去ろうとすれば強く腕を掴まれてしまった。どうせなら調査手伝えということなのか、それとも単に男子1人で恥ずかしいから付き添えということなのだろうか...。その意図は読み取れないけれど、海藤くんの顔はいつにも増して赤くなっている。腕を掴まれたままでは私も帰れない。
それにいつまでもこうしていたら、同じ学校の生徒にも何か関係があるのではないかと勘違いされかねない。私は渋々彼と共に占いの館に入っていった。

館の中には入れば、窓はカーテンや壁飾りに隠されているため薄暗くなっている。目を凝らしてよくよく見れば占いを生業としているだけあって、変な置物や占いの道具であろうものが置かれているのがわかった。中々、雰囲気は出ていると思う。

部屋には大きめの机と椅子が1つ。机の向かいには、占い師の女性が水晶を見つめながらじっと座っている。海藤くんが用意されたその椅子に座り、私は斜め後ろから立ち見をする。





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