第24χ 輝け青春、体育祭!(後編)A




最後の種目はクラス全員でのバトンリレー

勿論、私も走らなければならない。私の番はアンカーから数えて3番目。灰呂くんにバトンを繋ぐ予定になっている。

バトンリレーは中々奥が深いもので、ただ渡すだけではなくて、渡す時の持ち手の位置や受け取る時の手の向き、そして受け取る際の間合いなどに気をつけながら次の走者と気持ちを合わせることが勝利のカギとなる。
練習は積んできたけれど、バトンを渡す時が一番緊張するし失敗もする。私は練習中に灰呂くんに何回迷惑をかけただろう。それでも頑張れと応援してくれたのは嬉しかったっけ。本番ではちゃんとミスなく渡したい。

本日、最後のピストルが打ち出された。
最初の走者は海藤くん。100m走でも見たように彼の運動神経はあまりいいものとは言えず、最下位スタートになってしまった。けれど、懸命にバトンを繋ごうと必死に走る姿には感動すら覚えて、私も心の中で何度も叫んでしまった。その次は高橋くんと燃堂くん。
高橋くんは...アレとして、燃堂くんは最下位から一気にごぼう抜きして順位を上げてくる。走り方がホラーなのは今は突っ込まないでおこう。
そのあと照橋さんや知予ちゃんにバトンが繋がれて、うちのクラスは一躍トップに躍り出ることができた。

次は私が走る番。自然に心臓が高鳴っていくのを感じる。前の走者との距離を測りながらバトンを受け取れば、次の走者に向かって全力で駆け抜ける。
思いの外緊張せずに走れている。順位がトップのため前に人はいない。こんなにも安心して走れるのは繋いできたみんなのおかげだと思う。そのまま順位をキープして灰呂くんの元へ。

バトンを渡そうと手を伸ばす私。受け取ろうと手を伸ばす灰呂くん。練習の成果もあってバトンを渡すことは成功した...しかし、灰呂くんはその場に倒れてしまった、半ケツで。
その間にあっという間に抜かれて最下位に。...私は悪くない、彼のジャージも踏んでないし!

倒れていた灰呂くんは立ち上がると全力で走り出す。いよいよ、最後はアンカーの楠雄くん。ここまで来たら勝ってほしい!

バトンが灰呂くんから楠雄くんに手渡される。受け取った楠雄くんはブースターでも付いているかのように、猛スピードで他のアンカーを抜いていく。これはもしかしたら勝てるかもしれない!

ゴールテープまであと数メートル。
うちのクラスが優勝すると確信した刹那...楠雄くんはゴール直前にして盛大に転倒した。

こうして私達の熱い体育祭は幕を閉じた。
なんだか一週間を1日に凝縮したぐらいに疲労感を感じる。さて...帰ってお母さんにマッサージしてもらおう。

The END




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