第22χ 輝け青春、体育祭!(前編)A




男子100m走が終わると、次は女子の番。
私もこの競技に参加する予定だ。一応決まりで最低一つ個人競技に出なくてはいけなくて、一番早く終わるのがこの100m走だったので、これを選択した。

流石に注目が集まるだけあって、同じ走者の女子達も気合入っている。男子によく見せようということなのだろうか、髪を懸命に束ね直す子もいる。
そんな中、私は平常通り怪我だけしないように準備運動をしておく。怪我をしてしまったら楠雄くんの応援を全力で行えないからね!

スタートをピストルが鳴る。
女子はスポーツ得意な人と苦手な人の差が激しいだけあって、首位と最下位の差が大きく開いている。その中で私は2位につけている。運動は苦手と言ったけれど、人並み以下だとは言っていない。
流石に前を走る子は陸上部で活躍する子だから、追い付けはしないけれどこのままならクラスの人も納得してくれるだろう。
順位を保ったままゴールすればみんなからナイスファイトと労いの言葉をもらった。中には意外そうな顔をしている人もいたけど、人を見た目では判断していけないのである。

さて、あとは団体競技だけなので手を抜いていても問題ない。私は最初にいた芝生に戻ると観戦を続けた。

100m走が終われば、次は二人三脚。
私のクラスでは照橋さんと、沢北くん?...今の今まで彼の存在を知らなかった。まさか、私より影が薄い人がいただなんて。
二人三脚では照橋さんを担いでぶっちぎりの一位。伏兵がいたと全クラスで騒ついている。今度から私も彼のことを注意していこうと思う。影が薄いもの同士として。

『続いてのプログラムは借り物競走です!』

うちのクラスからどうやら燃堂くんが出るらしい。なんだか燃堂くんに似合わない気がしたけれど、彼の得意な力技が通じるのは、種目の中では綱引きしかない。恐らく一番妥当な種目だとここに入れ込まれたのだろう。

競技が始まって最初に紙を手にしたのは燃堂くん。タッパがあるだけあって走りも割といけるらしい。そのままこちらにかけてくる。一体何が欲しいのだろうとぼんやりと眺めていれば、彼の手は楠雄くんの方へ。
楠雄くんの髪飾りを取り去れば、彼は突然パタリと倒れてしまった。

「楠雄くんっ!?」

To be continued ...





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