第22χ 輝け青春、体育祭!(前編)@




今日はPK学園の体育祭。
空は青空晴れ渡る晴天でまさに運動日和なのだが、私の心は今にも雨が降りそうなほどにどんよりとしている。
前も述べたけれど、私はインドア派なので運動は得意ではない。叶うのならば休みたい。けれど、一応私にも出る種目が決められているし、何より楠雄くんの活躍を見られるとあっては休むわけにはいかない。

朝からグラウンドは活気に包まれていて、うちのクラスの盛り上がりも最高潮になっている。勿論、先導しているのはMr.ネバーギブアップこと灰呂くん。
彼は一年もこの日を楽しみにしていたと言っていたからやる気も一入なのだろう。

私はそんな燃える彼らの最後尾で目立たぬよう、寒さと戦っているところだ。体育祭とは言え、もう季節は秋になる。長袖の上下ジャージを身に纏っても、繊維の隙間から冷気が入り込んで来て寒い。早く帰って温かな部屋でまったりしたい。

『最初のプログラムは男子100m走です!』

グラウンドに設置されているスピーカーから召集の声がかかる。うちのクラスで出場するのは楠雄くん。早速、目が離せない競技が来てしまった。私はあえてグラウンドの端にある斜面になっている芝生に腰をかける。そこは他の場所よりグラウンドが見渡しやすくなっている。走る選手がコースに並んでそろそろ始まるようだ。

スタートを告げるピストルが響き渡る。
走者ほぼ一列になって競い合っている。ここは力が互角ぐらいの生徒が集まったのだろう。こういうレースを見るとなんだかハラハラしてしまう。楠雄くんは3位をキープしている。走る姿も格好よくて思わず見惚れてしまう。
あっという間にゴールしてしまった。楠雄くんはどことなく周りの男子より余裕ある表情をしている。もしかして手加減していたのかな、なんて。彼らしいと言えば彼らしい。私にとって勝敗なんてどうでもいいと思っているから、楠雄くんの走りを観ることができただけ満足なのです。

楠雄くんの次は海藤くん。彼の表情からは並々ならぬやる気が垣間見える。もしかして自信あるのだろうか?ドッヂボールの時にはあまり運動は得意ではなさそうだったけれど。
再びピストルがスタートを告げる。彼は5位だった。想定通り、なのかな。女の子走りが可愛かったから良しとしよう。





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