第18χ 霊能力者な転校生A




足音がこちらに近づいて来る。
本に影ができたと思って見上げれば、先程目視した転校生が私の真横に立っていた。

「アンタが平凡仁子さん?師し...斉木さんのカノジョっスよね。霊達の間で話題なっていただけであって中々可愛いっ!」

思いもよらぬ発言にカッと顔が赤くなってしまった。とっさに首をブンブンと横に振って違うという意思表示をすれば、おかしいっスね...などと呟きながら首を傾げている。
私が楠雄くんの彼女だなんておこがましいにも程がある!確かに最近は一緒にいること多かったし、そもそも家が向かいならそれなりに交流があっても不自然ではない。あぁ...顔が熱い。

本人を目の前にしてそんなデリケートなことを言うなんて。やっぱり何かに長けた人はどこか抜けているのだろうか。楠雄くんに彼女のも視たんっスか?!とかよくわからない事を聞いている。楠雄くんが睨みを利かせればしゅんと大人しくなった。ざまぁみろ!

楠雄くんはというと、まったく何を言うんだと戸惑いの表情を見せているも否定はしていない。嬉しいような、悲しいような...楠雄くん、そういう中途半端な反応されると女子は複雑な気分になるんだよ。

ハッとして周りを見回す。
恋話に敏感な年頃であるから、この話が聞かれたとなっては私と楠雄くんは注目の的になってしまう。それはお互いにとって最悪な状態でしかない。
周りにはまだ生徒は少ない。幸いにも話は聞かれていないようだ。夢原さんと照橋さんも席を外していていないし...2人に聞かれなくて本当に良かった

「他に用がないならクラスに戻ったらどうですか?」
「せっかくだからアンタの守護霊視てあげるっスよ。...どれどれ。」

彼は話すら聞いてくれないのか。探るようなじっと私を見つめてくる。彼に私の守護霊とやらが視えているのだろうか。しかし、顔はあまりいい顔はしていない。悪い守護霊なのか、それとも残念な守護霊なのか。そんな顔をされては気にならないものも気になってしまう。

「おかしいっス、守護霊が憑いてない...そんな人もいるんっスね。」

...はぁ、とりあえず納得した風を装って返事を返せば次の授業の予鈴が響き渡る。鳥束くんは自分のクラスに帰っていった。一体何がしたかったのだろう。

まったく彼のせいで心臓が止まるかと思った。
初対面の彼が私のことを知っていたということは、霊がいるのは割と信じられる話なのかもしれない。本当に霊というものは厄介な存在だと改めて認識できた。下手なことはしないよう日頃から心掛けよう。





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