第18χ 霊能力者な転校生@




うちの学校に転校生が来た。

少し時期外れなような気もするが、それに関しては向こうの事情もあるだろうし、気にしないことにしよう。
転校生が編入してきたのは私のクラスではなく、隣のクラス。自身のクラスではないのに、うちの学年はその転校生のことで話が持ちきりになっていた。
教室でも廊下でもガヤガヤと話し声が聞こえる。こんなにもうちの学校に生徒がいたのかと違う意味で驚いてしまった。
しかし、転校生というだけでなぜこんなにも騒がしくなるのか。それは転校生がただの転校生ではないからだ。

「霊や守護霊が視えるんだって」

女子がキャッキャっとなんとも楽しそうに話している。女子ってスピリチュアル的なものが本当に好きだなと感じる。ロマン溢れる運命や奇跡の一種だからだろうか。

話が逸れてしまったが、件の超能力者の名前は鳥束零太くん。彼は世間で言う霊能力者らしい。彼に会いに行くと自分の守護霊を教えてもらえるとのこと。

本当に幽霊なんているのだろうか。私は見たものしか信じられない...いや、見たものであっても信じていないものも多いけど。とにかくそういう性格なので霊能力とやらに興味はない。

みんながいなくなった教室で私1人、悠々自適に読書している。このことに関しては転校生に感謝したい。ありがとう、霊能力者くん。
いつもあまり物事に関心を示さない楠雄くんが珍しく教室に残っていないのは驚いたけど、そういうものが好きなのだろう...意外な発見ができて一石二鳥な気分になる。

集中できるおかげかページがどんどん進んでいく。この早さなら今日には読み終えてしまいそうなと頭の片隅で思いながら活字を目で追っていく。
そろそろこの小説の山場になったところで、聴きなれぬ声がして入り口側を見てみれば、見知らぬ男子が立っていた。彼が噂の転校生かな...思っていたより普通だった。
霊能力者と言うと、白装束で長い数珠を首からぶさ下げているという偏見に近いイメージがあったから、正直意外だった。学校でそんな格好で来たらそれはそれでビックリだけれど。
彼の隣には楠雄くんがいる。...彼とは知り合いなのだろうか。しかし、彼がうちのクラスに来ようが私には関係ない話なので、視線をまた本へ移した。





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