「キャー!ネクロソフィアよっ!!」
おっと...何かフラグを踏んでしまったのか、突然村の真ん中にモンスター...この世界ではネクロソフィアだったかな、が出現した。
村人は慌てて家の中に入って行って行く。私も入れてもらおうと思ったけど、家の数が少ないせいで、逃げ遅れた私は締め出されてしまった。他に村には逃げ場はない。
ゲームの主人公であればいざバトルとなるところだが、生憎私はありふれた木の杖しか持っていない。これでも戦えるとは思うが、正直勝てる気はまったく起きない。
さてどうしたものか...しばらく考え込んでいるとネクロソフィアが私に向かって襲ってくる。この世界がアクティブタイムバトルシステムだなんて聞いてない!
もうダメだとぎゅっと目を瞑れば、感じたのは痛みではなく風の流れとネクロソフィアらしき悲鳴。
恐る恐る目を開けてみれば、そこには剣を片手に立ち尽くす少年の姿があった。きっと彼がネクロソフィアを倒してくれたのだろう。剣についた血を振り払っている。
「た、助けてくれてありがとうございま..っえ?」
歩み寄ってその素顔を確認してみれば、その少年は楠雄くんだった。なんでこんなところに楠雄くんが?いや、仮にここが夢の中だとしたら...それはそれでかなり恥ずかしいのだけれど。
「もし良ければお名前、聞かせてもらえませんか?」
問いに対して何を言っているんだと言わんばかりに眉間に皺寄せて私を見下ろしている。もしかしてその通りで良いのだろうか。
「楠雄くん...?」
コクリと頷いてくれた、正解の模様。
なんてリアリティのある夢なのだろうか。主人公が寡黙というところも某ゲームを彷彿とさせるようで何とも不思議な気分になる。初めてゲーム内のキャラクター達の気持ちがわかった気がする。
こんなところで油を売っている場合ではない。ここが夢の中なのか何だか未だにわからないけれど、私達がやるべきことはただ1つ...ひたすらに先に進むだけ。
幸いにも先に楠雄くんが情報を仕入れていてくれたのか、持っていた地図で目的地を指し示してくれた。次に目指すは村の南東に存在する王国。
確かに村より多くの情報が聞けるし、イベントも発生しそうな予感がする。
ネクロソフィアが落としたお金で道具屋で一通り旅の準備を済ませると、私達はフィールドへ。
さぁ...冒険の始まりだ!
To be continued...