第43χ 独りじゃないということA




そして魔の時間が来てしまった、放課後だ。
カレンダーのメモによると、大体どこかに連れていかれるらしい。前の私は割と楽しんでいたみたいだけれど、今は変にボロが出てしまうんじゃないかと冷や汗しか出てこない。
誘われたら用があると断ることも出来るだろうが、彼らとどこまで親しくしていたのかは把握しておきたいところ。ここは慎重に考えてから行動した方が良さそうだ。

「おめーら、今日もラーメン食いに行こーぜ。」

来た、燃堂くんお誘いが。
彼の言うおめーらと言うのは楠雄くん、海藤くん、私の3人を指している。海藤くんがまたかよと不満げな声を上げている。それは仕方がない。メモによると先週もラーメンを食べていたみたいだし。私は覚えていないからどちらでも良いのだけど。

「なら、チビはどこがいーんだよ?」
「そうだな...ハンバーガーなんてどうだ。」

うん、悪くない選択だと思う。お財布にも割と優しいし。こうしてみんなで近くのファストフード店へ。
燃堂くんはビッグハンバーガーセット、海藤くんは照り焼きハンバーガーセット、私と楠雄くんは一番お手頃なハンバーガーセットを頼んでボックス席に着いた。

食べながら何気ない会話する。私と楠雄くんは、燃堂くんと海藤くん話をぼんやりと聞いているだけ。きっと前の自分もこうしていただろうと思うようにしていたけど、これで正しいらしい。

「...そういえば、平凡元気ねぇよな。」

海藤くん、いきなり何を言うかと思えば...一瞬見透かされているんじゃないかとドキッとしてしまった。思わず飲んでいたコーラが吹き出しそうになったよ。

「え、そうかな?少し考え事してて...ごめんね。」
「あんまり根詰めるなよ。何かあればこの漆黒の翼と仲間達が力になってやるからよ。」

海藤くんの言葉に心が揺れて思わず目頭が熱くなってしまった。けど、こんなところで泣いてはみんなが驚いてしまう。グッと堪えて笑みを返す。
あぁ...嫌な時間だと思ってしまった自分を思いっきり殴りたい。私の何気ない反応で心配までしてくれているのに。
なぜ、こんな大切な人達のことを忘れてしまったのだろう。私に何が起きたかわからないけど、今はとてももどかしくて仕方がない。

「ありがとう。その言葉だけで悩みも吹き飛ぶよ。」
「おーそりゃ良かった。オレっちのポテトやるから早く元気になれよ。」

差し出されたポテトをひとかじりする。完全にしなしなになったポテトだけれど、何よりも美味しく感じた。
今までは人と居るのは面倒だと思って避けて来たけれど、これからはもっと積極的になっていきたいと思う。...中々すぐにはなれないとは思うけど少しずつなら。

ありがとう、みんな。私、頑張るから!





*まえ つぎ#
もどる
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -