第42χ 波乱起こるか、魔のテスト@




今日から私の学校ではテスト期間になる。
大半の生徒はこの行事を大嫌いだと言うけれど、私は大好きと言って良いくらい楽しみにしている。なぜならば、こういう謎解きのような行為は元々好きだし、いつもより早く帰れるのが何より嬉しい。

「制限時間は50分。死語や不審な行動は慎むように。私は常に君達を監視している。」

先生の言葉にクラス内の緊張感が増したのがわかる。私はこの雰囲気も好きだ。いつも騒がしいクラスがシンと静まる感じが。

「カンニングを行なったものは...わかるな...?それでは...始めッ!!!」

一斉に鉛筆を持って問題用紙をめくる音がする。カツカツと鉛筆を走らせる音がなんとも心地良い。
私も順調に解答用紙を埋めてゆく。一年のブランクがあったとはいえ、それを補う為に毎日一生懸命勉強をした。そのおかげで大抵の問題は、教科書を読んで付属の練習問題を解けば理解はできる。幸い、ちゃんとノートを取っていたからそれも見れば、学校のテストは確実に8割を取る自信はある。応用問題は流石に教科書では網羅できないので、書店に問題集を買いに行ってひたすら問題を解くことでこなせるようになった。

あっという間に私の楽しみである謎解きの時間が終わってしまった。周りを見渡せば苦戦しているのか、頭を掻きむしったり抱えたりする生徒の姿が見受けられる。
さて...時間をかなり持て余してしまった、どうしようかな。変に違うことすれば不正と見られてしまうだろう。私ができることは机に突っ伏して寝るか、問題用紙に落書きするだけ。それなら落書きをしていよう。絵は得意ではないけど、みんなの顔を一人一人思い出しながら書いてみる。あ、楠雄くん中々うまく描けた気がする。

こうして時間を潰している間に50分は過ぎて解答用紙が回収されていく。先生が枚数を確認して、それが終わると教室から去ってゆく。すると途端にクラスがざわつき始めた。

「はーマジ最悪だったよー」
「どうだったー?次はなんだっけ?化学?」

お互い成果の探り合いが始まる。このやり取りほど無意味なものはないと私は思うのだけれど。やっぱり安心感が欲しいのだろう。自分の出来が相手より優っているかどうか。

「テストうまくいかなかったのか!?悪いが俺は完璧だったぜ!ククク...」
「僕は全然ダメだったよ、ハハッ。テストの時に勉強しなかった僕がいけないんだけどね。」

ここでも同じようなやり取りをしている。この会話を聞く限り、灰呂くんの方が海藤くんよりいい結果が出せたようだ。それと同時に海藤くんはただの中二病ではなくて、努力家な中二病だということも分かった。
灰呂くんからの指摘が恥ずかしいのか、一生懸命言い訳しているけど丸分かりなところが彼らしくて可愛いと思う。





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