第37χ ゴリラを狩るウサギ達@




ゴリラビットをご存知だろうか。
うさぎの愛くるしい頭部とゴリラの筋肉隆々な身体が見事にコラボレーション果たしたキャラクターである。
なぜかこのゴリラビットは高校生の間でブームになっていて、そのグッズはどこのお店に行っても入手困難な代物らしい。
この物語はそんなゴリラビットを巡る若者たちの冒険譚...ではない。

「校則違反だ...!これは没収する!」

高橋くん自慢のゴリラビットを取り上げたのは、体育教師兼、生活指導の松崎先生。
松崎先生は定期的に抜き打ち検査をしたり、昼休みに教室を回っては校則違反を取り締まっている。
今日、うちのクラスから没収したものはゴリラビット、ゲーム機、全自動麻雀卓、ケバブなどなど。
先生は学校は遊び場じゃないと没収した物を持って教室から出て行ってしまった。没収したものを片手に持つ先生もさる事ながら、それらをわざわざ持っていた生徒もかなりの強者だと思う。

見てわかるように松崎先生は生徒にとても厳しいことで有名で、同時に学校の中で一番と言って良いほど嫌われている。先生が出て行くなり、生徒達は松崎先生の不満をぶちまけている。

私個人、先生は嫌いじゃない。多少過度ではあるだろうが決して間違っていることを言っているわけではないし、むしろそのストイックな性格に尊敬を覚えるほどだ。
しかし、私の評価がどれだけよかろうが先生が嫌われていることには変わりなく、一泡吹かせてやろうと思っている輩は少なくない。

ここにも1人...いや、3人いた。

「あーマジムカつく、松崎の野郎!」
「なんとかギャフンと言わせてーよ。ウザヒマ無理エロナルドM松!」
「オレにいい考えがあるだよ...!あのウザヒマ無理エロナルドM松をギャフンと言わすいい手がな!」

屋上扉前の踊り場で、何やら良からぬことを考えている輩がいる。私は偶然にも屋上へと続く階段の前を通りがかって、偶然聞いてしまっただけ。彼らがどうしようと興味ないし、それを告発するつもりもない。

そのまま階段の前を通り過ぎようとするも、楠雄くんとバッタリ遭遇してしまった。彼も3人の画策を聞いていたようでじっと踊り場を見つめていた。その視線はすぐに私の方へ。
しかし、楠雄くんは何事もなかったかのように私の横を通って行ってしまった。何が言いたげだったような気もするけれど正確には読み取れなかった。

けれど、これだけは言える。
これはもう聞き流せる問題ではなくなってしまった。楠雄くんに彼らと共犯扱いされるのは死んでもごめんだ。




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