第33χ Let's ChristmasParty!A




ひと段落してみんなで食卓を囲う。
並べられた料理に一通り口をつけてみたが、どれも本当に美味しくていつまででも食べていられる気がする。楠雄くんは毎日こんなに美味しいものが食べているのか。楠雄くんの奥さんになる人がいたら大変だろうな。これに勝るとも劣らないものを毎日作らなきゃいけないのだから。

「仁子ちゃん、お客さんなのに手伝ってくれたのよ。本当に気が利くし、うちに嫁いでくれたら私達も安心よね!」

っ、何を言うんですかこんなところで!口に含んだジュースが思わず吹き出そうになってしまった。おじさんも申し分ないと前向きなご様子。...2人からの視線がかなり痛い。燃堂くんなんて2人夫婦になるのかとか真に受けているし。
お言葉は大変嬉しいのですが、楠雄くんの気持ちもあるわけですし、照橋さんほどの魅力も持ち合わせていない私なんて...なんだか自分で言い訳していて悲しくなって来た。ふと楠雄くんを見てみれば、いつもと変わらない様子でジュースを飲んでいる。...少しだけ反応を期待してしまった私を殴りたい。

その後は話が変わって、燃堂くんのお父さんの話に。確か小さい頃に亡くなったんだっけ...そう言えば先日お墓参りしたんだった。

「親父は生まれる前に死んじまったし、サンタもオレんちに来たことねーけど、母ちゃんがいるから寂しくねーぜ。」

彼の話で場はしんみりしてしまったけど、燃堂くんらしい前向きな明るさにどこか安心させられる。改めて思うけど、これが彼の魅力なのだろう。見た目のせいで八割くらいその良さが削り取られているけども。

突然ガタガタと音がしたかと思えば、窓をこじ開けようとするサンタの姿が。きっとさっき燃堂くんがサンタが来たことがないと言っていたからおじさんが気を利かせたのだろう。
流石に2度目の登場で驚きはしないと思ったけど、燃堂くん本物だと感動している。はしゃぐ姿が無邪気な子供で可愛いな...燃堂くん。

「そうだ!!アレ見せてくれよ!トナカイ!!サンタってのはトナカイを連れてくるんだろ!?」

無邪気とは言え無茶振りにも程がある。一派家庭がトナカイなんて連れて来られるはずがない。

「うおおー!!トナカイだー!!スゲェー!!」

その声に窓の外に目を向ければトナ...鹿がいた。楠雄くんの家は庭で鹿を飼っているのだろうか。それとも一時的に?どちらにしてもここに連れて来るってかなり手が込んでいると思う。恐るべし斉木家!

燃堂くんは一通りクリスマスを堪能できて、かなり満足そうな顔して本当に幸せそうにしている。見ているこっちも心が暖かくなってくる。今日は来てよかった...1人でケーキ食べるより何倍も楽しいし。

「今日はお邪魔しました。料理とても美味しかったです。」
「いいのよ、またいつでも来てね?」

ちゃっかりおじさんからプレゼントされたものを持って楠雄くんの家を後にする。いきなり押しかけたのにプレゼントまでもらってよかったのだろうか...楠雄くん用だったかもしれないのに。断って雰囲気壊すよりマシかな。今日はこれを枕元に置いて寝よう。いい夢を見ることができる気がする。





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