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「何も食べてないでしょ」
「……。あ、私?」
「そうよ、当然でしょ」

 当然なもんか。本から目も話さずに言われたてわからない。現に、周りに居た他の生徒は、僕? みたいな顔をしていた。

「お腹空いてない」
「だからってもっと食べないと体調崩すわよ」
「……本に夢中なんだと思ったら結構周りを見てるんだ」
「失礼ね」

 大人しいと思った彼女は意外にも口うるさかった。部屋も同じで、なんだかんだで行動を共にすることも多くなり、気付いたら親友と呼べるものになっていた。

「オリアーナ、ちゃんと寝るときは布団かけないと風邪を引くでしょ」
「う……ん」

「こら寝癖!!! そのまま外に出る気!?」
「あ、ホントだ」

「また、かぼちゃジュース? もうちょっと食べなさい」
「むー」

 そしてアイリーンのオカンLvはめきめきと上がっていく一方だった。テレテテッテテッテー♪


・・・・・・
・・・・
・・

「コラ」

 パコッ、本で軽く頭を叩かれた。ぼう、としていた頭が少し覚醒した。

「声をかけておいて寝ようとするんじゃないの」
「……その本、地味に痛い」
「あら、そう?」

 アイリーンはまったく反省していなく、ごめんなさいね、っと無表情で言ってきた。そして自分の本とオリアーナの本を持って立ち上がった。

「? もう読書はいいの?」
「えぇ。明日、ゴブストーンの試合があるの忘れていたわ」

 オリアーナの眉間に皺が寄る。

「私……アレ嫌い。あの臭い液体……」
「それはオリアーナが弱いからよ。負けなければあの臭い液体をかけられるずに済むんだから」
「む〜」

 さっさと歩きだしたアイリーンの後ろをゆっくり歩くオリアーナ。

「ねぇ、アイリーン」
「何」

 彼女が振り向くことも足を止めることもない。オリアーナは少し足を速めてアイリーンの隣に並ぶ。

「……なんでもない。今度こそ、ゴブストーン勝つんだから、早く寮に帰って勝負しましょ」
「……手加減しないわよ」

 普段あまり表情を出すことのないアイリーンが少しだけ微笑んだ。オリアーナは同じように微笑み、二人揃ってスリザリンの寮である地下牢へ向かうのだった。



2017/06/26


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