木漏れ日が心地よく、さらりさらりと優しい風が頬を撫でつけていく。まるできらめくベールに包まれるような感覚。素晴らしきかな春の気候。
くあ、と大きく欠伸をすると同時に、だんだんと瞼が重くなっていき……。
「……オリアーナ?」
「……ん、……何?」
うっすらと目を開けると、アイリーンは私の顔を覗き込んでいた。眉を顰めているが、私、何かしたかな。
「いつの間に寝ていたの?」
「ふぁぁ……わかんない」
再度大きく欠伸をし、体を伸ばしながら答えると隣からハァ、と大きな溜息が返ってきた。
アイリーンと二人、湖畔の側に佇む大きな木の根元で読書をしていたのだが、気付いたらオリアーナは本を膝の上に置いてぐっすり眠ってしまっていたようだ。ほんの僅かな時間だと思っていたが、三十分は経っていたらしい。
「今日は暖かいね。……こういう日は眠くなる」
「そうね」
アイリーンは本に目を落としたまま、短く答える。
「ねぇ、アイリーン……」
「なに?」
オリアーナは静かに目を閉じた。
・・・・・・
・・・・
・・
ホグワーツに入学して、当たり前のように組み分け帽子でスリザリンに寮が決まった。ブラック家は多くの純血家系と繋がりがあるためあちらこちらに顔見知りがいる。
「ご入学おめでとうございます」
「彼女がブラック家の跡取りですの?」
「姉君に似て美しく可憐な……」
料理がすでに並んでいるというのに、多くのスリザリンの生徒の目がこちらを向いているのは何故だろうか。まぁ、理由はわかりきっているが。それから、隣に居るヴァルブルガがうるさい。黙れks
「……ちょっと、失礼」
あまりにもヴァルブルガが煩いので、静かに席を立って別のところに移動した。
あ、あそこ静か……。
「……」
オリアーナが座った席、その隣に居たのがアイリーンだった。本を読みながら食事をしている。オリアーナはそんな彼女を見ながらかぼちゃジュースを飲んで時間が過ぎるのを待った。
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bkm