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「あの木刀は回収しなくていいの?」

 あの木刀とは、銀時の愛用(?)だろうか、洞爺湖と書かれた木刀のことである。

「あぁ、別にかまわねぇよ。それより、これから――」

 銀時は天人にパフェの恨みをぶつけた後、女を愛用のスクーターの後ろに乗せてゆったりと走っていた。

「おィィィ!!」

 叫び声に振り返ってみれば、後ろから先ほどの店に居た少年Mが必死の形相で走ってくる。

「少年M!? 普通なら少年Aとかじゃないんですか!? なんでM!?」
「少年M(メガネ)のことよ」
「メガネキャラ舐めんなァァ!!」
「バカね。今は少年Hとかいる時代よ、いいじゃない少年M。それから私は別にメガネのことを舐めてるんじゃないのよ? 舐めたくもないわ」

 吐き捨てるように笑顔で言い切った女。

「ちょっ意味が違うんですけど!! つか、あんたら! よくも人を身代わりにしてくれたなこのヤロー!!!」

 そう、銀時は天人を叩きのめし、血の滴る凶器(木刀)をそこに立っていた少年Mの腰に挿して颯爽と立ち去ったのだ。つまりは、罪を擦り付けたわけだが。

「律儀な子だな。木刀返しに来てくれたの。いいよ、あげちゃう。どうせ修学旅行で浮かれて買ったやつだし」
「違うわァァ!! 役人からやっとこさ逃げてきたんだよ!! 違うって言ってるのに侍の話なんて誰も聞きゃしないんだ!! しまいには店長まで僕が下手人だって」

 少年Mの顔が泣きそうに歪む。

「そりゃ切られたな」
「侍には生きづらい世の中になったものよね」
「ま、レジも打てない店員も侍も炒飯作れない母ちゃんくらいいらねーもんな」
「アンタ母親をなんだと思ってんだ!!」
「そうよ、銀時。炒飯は作れなくたっていいのよ。母ちゃんは目覚まし時計の如く、毎朝起こしてくれる存在でしょ。ね?」
「んなわけあるかァァ!!」

 女が振り向きながら同意を求めると唾を飛ばされながらツッコミを返された。

「だいたいねぇ……バイト、クビになったくらいじゃない」
「そうだそうだー。それくらいでガタガタうる……」


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bkm
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