夏休みだよ!その7


噴水広場を歩くクイーンに気付いてナマエが手を振る。

「あ、委員長だ!おーい!」
「クイーンだぁ!やほ〜!」
「ぶわっ?!ちょ、シンクちゃ、水鉄ぶぉ、止めふぶ」
「あははは!僕も僕もー!」
「ブォホッ、集中攻げ、やめっ…!うっ、うわああああ!委員長ー!!」
「何をしているのですかあなたた」(バチャ)
「あ」
「あーあ、ナマエがクイーンのとこ行くからだよぉー」
「わたしたちのせいじゃないからねぇ〜」
「ちょ、シンクちゃんとジャックんが水鉄砲で攻撃したんでしょ!?私だけのせいじゃ」
「ナマエ」
「ひっ!?は、はい…」
「それからシンクとジャック」
「「はい…」」
「そこへ座りなさい」

噴水の前に正座で座らせられる三人の目の前に羅刹クイーンが現れる。羅刹モードのクイーンはもう一度倒さなければ羅刹は解けない。仁王立ちするクイーンを見ながら三人はどうやってこの場を切り抜けるか思考を巡らせた。

「(くっ、羅刹クイーンになってしまったか…どうする、シンク隊員、ジャック隊員)」
「(いやぁ、どうするって言われてもねぇー。羅刹クイーンはクラサメよりもたち悪いからなぁ)」
「(元はといえばナマエっちがクイーンのとこ行ったからだよねぇ〜)」
「(いやだって二人とも私に容赦なく水鉄砲やってきたよね?しかも顔に集中攻撃。案外水鉄砲ってやられると息できないんだよ?!)」
「何をコソコソ喋っているのかしら?」
「ひぃっ、ご、ごむ、ごめんなさい!わざとじゃないの、ね、シンクちゃん!ジャックん!」
「そうそう、僕らはナマエを狙っただけであって、ナマエがクイーンのとこに行かなかったらクイーンに当たってなかったと思うよー」
「うんうん、ナマエっちがクイーンのとこに行ったことに気付けなくて当たっちゃっただけで〜」
「え!?き、君たち、隊長を生け贄に自分だけ助かろうとするとは…!なんて薄情な奴等なんだ!」
「えー?死んででも僕らを助けるのが隊長ってものじゃない?」
「そうだねぇ〜。隊長ってそういうものだと思うよぉ〜」
「隊長をなんだと思ってるんだ君らは!」
「黙りなさい」
「「「…………」」」
「第一、誰がここで水遊びをしていいと言いましたか?」
「ナマエが誘ってきたんだよ。ね、シンク」
「うん、ナマエっちが最初に言い出したんだよ〜」
「その誘いに乗っかったのは君たちでしょう?!共犯だし!」
「黙りなさい」
「「「…………」」」
「水浸しになってしまったのはもう仕方ありません。ですが、噴水広場は遊ぶためにあるのではないことくらい、わかっていますよね?」
「はい…」
「噴水の水もだいぶ減ってしまったし、あなたたちは水を足す作業を始めなさい」
「えっ、拷問は…?」
「拷問?ナマエは拷問がいいのですか?」
「めめ、滅相もございません!水を足す作業に移ります!」
「シンクもジャックも、誘いに乗った罰です。一緒にやりなさい。あぁ、拷問がいいなら話は別ですが」
「よぉし、はりきって水を足す作業に移るぞー!」
「お〜!」



「ご、拷問よりきつくね…?」
「そりゃあ、この炎天下に水運びだから、ねぇ…」
「もうシンクちゃん無理ぃ〜、溶けちゃううぅ…」
「ねぇあと何回運べばいいの?これ」
「ざっと見て50回以上ですね」
「うわっ、クイーンいつの間に…」
「これに懲りたらもう噴水広場で水遊びをしないように」
「…はぁい」(ズルッ)
「お?」
「「あっ」」(バチャアッ)
「…………」
「…………」
「あ、あの、クイーンちゃん、わざとじゃ…」
「あーあ、ご愁傷さまぁ」
「わたしたち先に行ってるねぇ〜」
「あ!薄情者!隊長を置いていく…な…」
「ナマエ」
「はいぃ…」
「あとでこれをクラサメ先生に渡してきなさい」
「え?なにこれ…え…重要、書類?」
「あなたのせいで水浸しになってしまいましたので。では水を足す作業が終わったらお願いしますね」
「え、いや、さすがにこれは氷付けにされちゃうって!ま、待ってクイーンちゃん!(ズルッ、ゴンッ)いっ、たあぁ!!」

そのあと、満身創痍でクラサメのところに行ったナマエは、二日間、皆の前に姿を現すことはなかった。

 

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