| ……あ、二人とも、ちょっといいですか。
|
水津晶夫:
って言って翠ちゃんと東くん手招きする。
小鳥遊翠:
「どうしましたー?」と寄って行くよ。
井上東:
「なんや?」ってあきおの方に寄る。
| どうにかして獅童の部屋に入れないか、考えていたんですが……多分、アニさんと俺達を襲ってきたあれって、元は同じもの……というか、少なくとも似たものっぽい、ですよね?
|
| ?? どういうことですか? ……雪女ってことですか?
|
| ……あー……うん? 俺もようわからんわ、詳しく説明してくれ。
|
KP:
ちょっとおもしろい。
| 最初に襲われたとき、アニさんはあれと会話していたようですし、何というか、同種族? って感じがするんですよ。……どうして姿が違うのか、とか、そういったことは分かりませんが。 でも、もしそうだとしたら、あれの弱点もアニさんと同じ……。
|
水津晶夫:
という感じの推理。何となくアニちゃん加えないで話したけど、居てもそんなに問題なかったような気もする。
| ちょちょ、え? アニさんとアレが同じ? ……そんな……でも……あり得るんでしょうか……。アニさんの苦手な物といったら、だって……。
|
小鳥遊翠:
と考え込んでいる様子。私も何となくだけど分かってきたような、分かんないような。
| ……その仮説の上で、の話やけど……同じもの、つまりアニとあれが一体の存在であるってこと、も考えられへんか? つまり……あれを倒すと……いや、考えすぎやなこれは! アホか俺!
|
水津晶夫:
アズマオウおもしろいな。
KP:
アズマオウはおもしろい。
井上東:
なんやねんお前ら!
小鳥遊翠:
初めはこんなキャラだとは思ってなかったよアズマオウ。
| いやまぁ、俺の話はないにしても……水津さんの言ってることは十分有り得ると思うで。うん。
|
井上東:
途中の誤爆がなかったらこんなんなってなかったと思う。
KP:
キッチン行こうか!
井上東:
やめろォ!
小鳥遊翠:
名言だね。
水津晶夫:
後世に残していきたい。
| その……それなら私は防寒着を持っていきたいと思うのですが、ダメでしょうか……。万が一違った場合……。
|
| ……俺、さっきキッチンでブレーカーを見つけたんですよ。家全体の暖房を落とせると思うんですよね。
|
小鳥遊翠:
そういやキッチンの目星もまだだな。
水津晶夫:
ちなみにこの防寒着ってどれくらい防寒出来そうなんですか?
KP:
めっちゃもこもこ裏起毛です。ちゃんと着込めば外が吹雪いていても耐えられそうですね。
井上東:
着たい……寒い……。
水津晶夫:
バリィィインなるから。水津の服で我慢しといて。
小鳥遊翠:
井上さんは平気だから。大丈夫。
KP:
まあ、篝がアニのために奮発して買ったんだろうなあというくらいのあれは感じられる機能性の良いものですよ。
井上東:
切ないぜ……。
| これ、アニさんに着ていてもらえば、家の中が寒くなってもアニさんは大丈夫なんじゃないんでしょうか?
|
| そうですね! なんなら私の腹巻きもあげちゃいます。
|
| じゃあ俺の……俺から、何を奪おうって言うんや……これ以上……。
|
KP:
アズマオウww
水津晶夫:
アズマオウいいキャラしてんな。
小鳥遊翠:
むしろ猥褻罪で捕まるから着ててくれ。
井上東:
流石に二回連続で捕まりたくない……着てる……。
KP:
アレのあとに猥褻罪で捕まったら流石にアホらしさが過ぎる……。
| ……俺からはこの有り余る情熱を授けたるわ、存分に暖まれよ!
|
井上東:
とガッツポーズしてます。
KP:
小指さんが開き直った。
水津晶夫:
アズマオウ……。
井上東:
さっきからアズマオウに流れる関西人の血がとめどないんだけど誰か止めて。
| ふふ、井上さん、優しいですね。
|
水津晶夫:
って微笑んどくわ。助長しにいく。
小鳥遊翠:
あきおお前……。
| はっは! 分かるか! 浪速の男は義理と人情に熱いんやで!
|
井上東:
突っ込めっつってんだろ!
水津晶夫:
あきおは肯定しかしないからツッコミは他の人に任せる。
KP:
ボケとボケとボケ(確信犯)しか居ない。アニちゃんはそういうのよく分からない。
井上東:
アニちゃんかわいいねぇ……。
| 井上さんっ……無理しないでくださいねっ……。
|
小鳥遊翠:
とそっと耳打ちしておく。
水津晶夫:
その優しさは……。
KP:
逆に辛いタイプのやつだ!
小鳥遊翠:
翠は優しい子……。
水津晶夫:
という訳でアニちゃんに防寒着渡すか。
井上東:
暖まってもらおう。
小鳥遊翠:
腹巻きも一緒にね。
| あの、ちょっと頼みたいことがあるんですけど。
|
| ……なあに? 内緒話は終わったワケ?
|
KP:
と、適当に手に取って読んでいた漫画を棚に戻して視線を向けます。
| ちょっと試したいことがあって……この家の暖房を落としたいので、これ、着ててもらえますか?
|
水津晶夫:
って言って防寒着を渡す。
| ……必要なことなの?
|
KP:
ちょっとイヤな顔をしつつ、渋々受け取ります。
| ……恐らく。もし何もないようなら、すぐ戻すので……。
|
| いいわよ、別に。……お気に入りの服だし。なるべくあったかくしてよね。
|
KP:
と言っていそいそと着てくれますね。
水津晶夫:
よしかわいい。じゃあ、キッチン行こうか!
小鳥遊翠:
キッチン行こうか!
井上東:
やめ……やめろォ!
KP:
キッチン来ました!
井上東:
アレンジもやめろ!
水津晶夫:
目星再挑戦とかする?
井上東:
したいね。
小鳥遊翠:
するー。
KP:
おっ、したい方はどうぞ。
井上東:
技能ロール:〈目星〉 1D100≦25 → 95 = 95 [失敗] |
小鳥遊翠:
技能ロール:〈目星〉 1D100≦70 → 31 = 31 [成功] |
井上東:
ンン……うん。
水津晶夫:
アズマオウ……。
小鳥遊翠:
じわじわくる。
KP:
ファンブらなきゃ安い!
井上東:
そうね!
KP:
では成功した翠ちゃんはですね、キッチンの隅の方にある冷蔵庫、の、下の冷凍庫をふと開けてみます。
その中にある製氷機に、少しばかりの氷が残っていることに気が付きますね。
小鳥遊翠:
ほうほう。その氷持ち運べないかの?
KP:
今から寒くするんですし持ち運べないこともありませんが、持ち運ぶなら時間経過ごとに溶けてしまうかもしれませんな。
小鳥遊翠:
翠ちゃんが持ってる魔法瓶に入れてけないかしら。中身ならさっきアニちゃんが飲んでくれたから入ると思うんだけど……。
KP:
なるほど! 水筒に入れてくなら勿論アリです。よい発想です。じゃあちょっと翠ちゃん1d3+1振ってくれる?
小鳥遊翠:
うっす。
KP:
では3回分、何かに使えるくらいの氷があったことになります。
小鳥遊翠:
なるほどー。
水津晶夫:
翠ちゃんお手柄。
KP:
持ち物が著しく役に立った良い例。
井上東:
翠ちゃん流石やで。
小鳥遊翠:
いえい。準備なら万端ですぞ!
水津晶夫:
よし、じゃあ落としますか。
KP:
ブレーカーを落としてよろしいのですね?
小鳥遊翠:
ばっちこい。
KP:
はい、ばっちーん。という訳で、エアコンの起動音が一斉にダウンして暖房が切れたことが分かりますね。もっかい上げればちゃんと電気はつきます。
小鳥遊翠:
二階に行ってみる……?
水津晶夫:
二階の様子見に行こうか。
KP:
篝の寝室の扉の前でよろしいかな?
水津晶夫:
うん。
KP:
そうですね、では二階に上がってみると、篝の寝室の扉を覆っている水銀もどきは多少蠢いて、弱っているような動きを見せています。しかしまだ中に入るのは難しそうですね。
水津晶夫:
弱ってるってことはあともう一押しか。
KP:
えっ、なんかちょっと涼しくなってきてない? コレやばない? みたいな感じ(?)で焦るようにめっちゃ波打ってます。気持ち悪いです。
小鳥遊翠:
うぇ…気持ち悪い…って感じに顔を歪めてると思う
水津晶夫:
きもい。まだ足りないか……って考え込んでる。
小鳥遊翠:
氷をぶん当てるか、ステンドグラスをぶち割るくらいしか思いつかなかった。
水津晶夫:
ステンドグラスは確かに気になる。
井上東:
なるほど。
KP:
いい閃きだ。
小鳥遊翠:
けどそれだけの筋力が無い……。
水津晶夫:
どうやってぶち破ろうか? ケルナグールして割れるもんなんですか……?
KP:
ちなみにステンドグラスの耐久値は10です。ケルナグールでも10点分のダメージを与えれば割れますね。
井上東:
ケルナグールいけるで。
小鳥遊翠:
ケルナグール……。皆でやれば怖くない。
KP:
クリスチャンそういうの抵抗ありそうなもんだけど。
水津晶夫:
あーうん、確かに。いくら自分のところの宗教と違うとはいえ。でもまあ緊急時だしやれと言われればやったりますよ。
小鳥遊翠:
小鳥遊は無言の圧力をかけるよ。
井上東:
やったれー! オラー! と後ろから応援してる。
水津晶夫:
おめえもやるんだよ! まあいうて宗教違いますし……キリスト教徒は自分のところ以外の宗教に冷たい(ド偏見)
KP:
切り替えの早い教徒だぜ!
| あの……水津さん、井上さん。提案があるのですが……!
|
| ん? 何ですか?
|
| なんや言うてみ!
|
| そこのステンドグラスあるじゃないですか! あれ、何とかして割ったら、外の冷気でもっと冷やせるんじゃないかと思って! なんか割れそうなとこありましたよねっ……!? ちょっと気は引けますが……どうでしょうか……?
|
| ……まあ確かに、ヒビは入ってましたが……でも……。
|
水津晶夫:
って言い淀む。
| ! ……なるほどな、俺は異論ないで! ……なんや、水津さん、ビビっとんのか。そんなん言うてる場合とちゃうやろ! 男見せろや!
|
井上東:
つって背中バシーンする。
KP:
アズマオウのテンションの上がり方ほんとおもしろい。
井上東:
人見知りだけど慣れてくるとめっちゃうるさいタイプなんだと思う。
| 大丈夫です! きっと上手くいきます…! 三人じゃなきゃ出来ないと思うんです……お願いします、水津さん!
|
| っ、と……そうですよ、ね。緊急事態……だもんな……うん。
|
水津晶夫:
って胸元のロザリオぎゅっと握る。
KP:
初めてあきおをかわいいと思った。
小鳥遊翠:
私も(初めて)思った。
井上東:
あきおかわいいやん……。
水津晶夫:
あきおもかわいがってあげて。
小鳥遊翠:
あきおちゃん顔は可愛いと思う。
水津晶夫:
褒め言葉として受け取っておくね。てか、アニちゃん的には良いんだろうか?
小鳥遊翠:
確かに……でもそれも必要なことだからって言うしか……。
| ……アレ、どかすのに必要なんでしょ? 何となく分かるわよ、見てれば。いいんじゃないの、別に。 思い入れも、ないし。どうせ、……何でもない。割ればいいんでしょ? 手伝う。
|
KP:
とのことです。
井上東:
アニさん……。
| ……アニさん……! あ、ありがとうございます……!
|
| アレがいなくなるなら、正面玄関からも出られるようになるし。アンタ達ももうすぐ帰れるんだから、それくらいするわよ。
|
小鳥遊翠:
てことで言い出しっぺからやります。
KP:
〈こぶし(パンチ)〉はいちいちしなくてもよいですよ。流石に動かないステンドグラス相手に外したりしないでしょう。なので順番に1d3のダメージロールだけ回してってくれれば!
小鳥遊翠:
よかった。うっかり観葉植物を殴らなくて済む。
KP:
がしゃん!
小鳥遊翠:
ヨワイ……。
KP:
しゃーない……しゃーない……下手したらめっちゃ手怪我するし。
小鳥遊翠:
せやな……ガラスだもんな……。
井上東:
じゃあいくぜ。
KP:
がしゃん!
水津晶夫:
言ってたわりに弱い。
小鳥遊翠:
け、怪我すると危ないからね……。
井上東:
い、意外と硬いわーこのガラス!
水津晶夫:
それじゃ水津もいきます。
水津晶夫:
笑うわ。
KP:
仲良しだなあ(小並感)
水津晶夫:
背徳感に勝てなかった。
小鳥遊翠:
いやー! 実に頑丈なガラスだー!
KP:
それではアニちゃん。ダメージボーナス込みで。
KP:
がっしゃーん!
小鳥遊翠:
アニちゃんつおい。
水津晶夫:
つよい……。
KP:
残り耐久値3ですね! 決めちゃってどうぞ!
小鳥遊翠:
んじゃいくよ!
小鳥遊翠:
お。
KP:
おっ。
井上東:
おお!
水津晶夫:
おお。
KP:
おめでとう! では耐久値10を削りきったので、ヒビがバキッと深く入り、外からの風圧や諸々によってステンドグラスはがらがらと崩れていきます。
小鳥遊翠:
これがファンタジー小説作家パワーや!
水津晶夫:
複雑な顔で見てる。
KP:
美しかったステンドグラスは、粉々になっても心なしかきらきらと光を反射しながら足元に散らばっています。外気がびゅうっと入り込み、アニちゃんはもこもこ防寒着をぎゅっと着込んで耐えていますね。
小鳥遊翠:
アニかわ。
井上東:
アニかわ。
水津晶夫:
アニかわ。
| っ……これで、玄関のやつら、いなくなったんじゃないの? なら、帰れるはずよ。もう、ここにいる理由もないでしょ。
|
| ……お前は、どうすんねん。
|
| …………どうだっていいでしょ。
|
| ……私、このままアニさんを置いて行けない。そんな気がするんです。お二人もそう思いませんか……?
|
| そうですね。アニさんはこれまで、俺達を助けてくれたんですし……一人で置いていったら、主に怒られてしまいますよ。
|
| ……どうだっていいって……どうでもよくないわ! 誰のお陰でここから出られると思ってんねん! 小鳥遊さんと水津さんの言う通りや、置いていける訳あるか! このアホ!
|
| は……? 何言ってんのよ、意味わかんない。 っていうか、アンタ最初と言ってること全然違うじゃない! 気持ち悪いのよ! 余計なお世話っ、
|
| 言いたいだけ言えや! 確かに最初はお前んことよう思っとらんかった……けどなァ! お前と話して、そんで助けられて……! 今俺は、心の底からお前を助けたいと思っとんねん! それだけや!
|
小鳥遊翠:
アズマオウめっちゃ熱い……好き……。
| 極寒の地だろうが、俺のこの有り余る情熱で暖めたる!! なんたって浪速の男は義理と人情に熱いんやで! 分かったか! このアホ!!
|
水津晶夫:
口は悪くても情に厚い関西人の鑑。
| ……何それ。やめてよ、そんな急に、熱くなられたって困るし……ばっかみたい……。
|
KP:
アニちゃんの声は震えている。
| ずるいなあ、井上さん。かっこいいところ持っていっちゃって。 ……でも、俺も同じ気持ちですよ。俺も、貴女を助けたい。何が出来るかなんて分かりませんが、そう思った、それだけです。
|
水津晶夫:
って真剣な表情で話す。
| 助けるって、なによっ……アタシはシドウを助けてほしかったのに! アタシを助けてなんて言ってないわよぉ……!
|
| アニさん……私、後悔しているんです。もっと早く来ていれば、篝さんのことを助けられたかもしれないって。それがずっと苦しくて……辛くて……。 でも、日記を見たとき、思ったんです。アニさんを助けたいって。だからこれは私達のお願いです。今度は私達に、貴方を助けさせてくれませんか……?
|
KP:
そこまで言われたら流石にそろそろアニちゃんも瞳をゆらゆらとさせて口をつぐんでしまいますねえ。強引に連れ回すなら今です。
井上東:
連れ回すぞオラー!
小鳥遊翠:
よっしゃ!とりあえず篝の部屋に連れて行きたい!