日常。

俺は佐原良丞16歳。
読めるだろうが
一応言っとくと
「さはらりょうすけ」だ




なぜ俺が砂漠と呼ばれているかは
言うまでもないだろう。


…………言いたくないし。
察してくれ。






で、本日も絶賛ふるぼっこ中のこいつは
腐れ縁の幼なじみ、和端タイチ。
「わはた」という名字が
あまりにも言いにくいので
男子も女子も先生もみんな
タイチと呼んでいる。





え?見た目?

俺はもともと茶髪で
まぁどっちかといえばベージュ。
顔は普通…………かな。
男はハートで勝負、だ。




タイチはもとは黒だったが
高校デビューして茶髪になった。
身長は160と男子にしては小さめ。
「可愛い系」ってやつ。
かわいくない奴だけど。


あ、俺は175cm。
普通…………かな。







「いだぁぁぁぁぁぁあああ!!」




そのタイチは只今
俺にプロレス技をかけられている。
技名はよく知らないが
見よう見まねで習得した寝技だ。

(そこの腐女子、今変な妄想しただろ!)





「ギブ!ギブ!もうムリやめてー!」



…………ったく。
お前が性懲りもなく
砂漠ちゃん砂漠ちゃん言うからだろ。

自業自得だ。






そんな10時35分。






―――――――――*





「砂漠ちゃんやめたれよもう……」



そう言って現れたのは
眼鏡男子代表、学級委員の阿波加だ。
トレードマークの七三分けが歪みない。




タイチは目を輝かせた。

「天使降臨!さすが学級委員!」
「タイチもタイチやで。人の名前でいじるのやめときぃ」


こいつとは高校に入ってから親しくなった。
謎の方言を使う生粋の東京人である。



三人の中ではオカン役で、
いつもこのふるぼっこタイムは
こいつの登場で終わりを告げる。



このタイミングが絶妙で、
阿波加のお陰でいつもスパッと終われる。
俺もあいつも後味のわるいのは嫌だからね、
何においても。




ちょっと感謝してたりもするが、
だがしかし俺は地獄耳。
スルーするわけにはいかない。



「俺は聞き逃さなかったぞ!お前もさっき砂漠ちゃんって」
「まあ落ち着きや砂漠ちゃん」
「阿波加お前まで…………」



最初はタイチだけだった「砂漠ちゃん」は
現在、急速に教室内に広がっている。



学級委員であるあの阿波加…………

「アワカ」ってまたこいつも珍しい名字で、
「アワ」→「泡」→「バブル」って具合で
バブルと呼ばれているんだが
こいつまで俺を砂漠呼ばわりだ。




だが俺がこいつに
「なんだよバブルっ」
とか言ったら、同類になってしまう。




今日もぐっとこらえて「阿波加」と呼んだ。




そんな気持ちが通じたのだろうか。

「あ、そうだ。良丞に頼み事があったんだった」
「阿波加お前今良丞って……!!」
「え、嫌だった?」
「ちがっ「砂漠ちゃんは砂漠ちゃんだよ!」
「タイチお前は黙ってろッ」
「わー砂漠ちゃんがまたいじめるー」
「タイチも砂漠ちゃんももうやめんかいなー」








…………全然通じてねぇ。







二人まとめて殴ってやろうかと
構えたその時、



【キーンコーンカーンコーン】


…………くそっ



「チャイム着席だよ。ほら、二人とも席についてっ」「あいあいさー☆」


…………あぁもう
絶対寝る。


寝て、忘れよう。


夢の中でストレス発散しよう。










………その眠りから覚めた時から、
俺のくだらない日常に
変化が起こり始めるなんて、
その時の俺は
これっぽっちも予想していなかった。










妄想は、してたけど。
――――――――*




*続く*


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