指が好きだ、彼の指
体は大きいし化物並の力だってある、なのにぜんぜん肉が付いてない。痩せ、の部類に入ってもいいんじゃないんだろうか。少なくとも標準だなんて言えなくてだから指も骨っぽい、必要最低限の肉しかない。でも気持ち悪いことなんてない。彼の爪は長くもなく短くもない。女爪とも男爪とも取れないけど綺麗な指をしてた。これなら俺でも折れるんじゃないかってくらい貧相な指だった

「ゆび。好きだよ」ぱっと出た言葉に少し驚いたのか本格的に頭でもいかれやがったのか、暴言だけは弱いのかも。似たようなことばっかりぐちゃぐちゃにかき混ぜて吐き出して、まあいっそ面白いくらいの語弊力の無さ

「いつか俺にちょうだい」
「切り落とせってか」

切り落とすなんてもったいないことしないよ馬鹿だね。あからさまに嫌な顔をした彼の煙草を持つ指は相変わらず俺を離さない。


(シズちゃんが俺のものになればいいのに、)

そうしたらきっとずっと丸ごと愛し尽くしてみせるよ。じっと顔を見て思う。欲しいのが指か全てか分からなくなる。
醜い独占欲が満たされるのはいつだろうか、考えてみたらまったく見えないからそんな日は来ないのかなあ。虚しくなって叶わないって悲しくなるって無駄だって。分かってるんだからさ。この欲に突き立てておこう、お前みたいなものが死にますように。



(やっぱ無理)





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