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虎視眈々


いよいよ今夜だ。

辻が迎えに来て、慧はとっくに接待に行った。

辻によると、接待が行われるホテルは先方が宿泊するところで遠い場所ではない。だが、大事な取引先であり、久しく会っていないから接待は長引く予定で早くても帰りは日付を跨ぐらしい。

俺がここのオーナーと会っている最中に慧に戻ってこられては困る。だから、辻に何があっても真夜中までは慧を引き留めるよう頼んだ。

念には念を入れて、立花、去年慧と辻と共にTCCE試験を受けて合格した奴にも頼んである。だが、会社で関係があるのは秘書である辻だから、辻が主に引き留めてくれる予定だ。

もちろん、俺が辻と立花に連絡したなんて、慧には絶対に知られてはいけない。

慧がこっちのホテルに戻ってくるの頃には、全ての駆け引きは終了している。

これが一番望ましい形だ。

どうして今回ばかりはここまで慧の介入を拒むのか。それには理由があった。

一つ、危険であること。

嫌な予感がするんだ。ホテルの裏カジノに伊瀬が使っていた鷲のシンボルがあった。相手には相当手練の情報屋がいると思う。何が起こるか分からない今夜、慧を連れて行きたくない。

二つ、これは絶対に慧に言いたくない。

今夜、俺は、

(…色仕掛けを使おうと思っている)

オーナーのことを調べてみた。

結果、確かに情報は出てきた。それは表は品行方正なオーナー像だったが、もう少し探せばカジノでの不法賭博を裏付ける証拠が出た。

それに加え、前回俺達がカジノで遊んだ時に盗撮した画像や写真、録音した音声があるからオーナーは責任から逃れられない。

問題はどう捕まえるかだ。

いくら俺が戦えると言っても、相手のテリトリーで戦うのは避けた方が賢い。それに、もし武力で強引に捕縛しようとして失敗した場合、行方をくらまされると後が面倒になる。

だったらどうすればいいか。

(罠を張るんだ)

相手が俺のテリトリーに来るように誘導する。

そのためにはホテルの買収が必要となる。その場面にはさすがに買収側の御曹司である慧にいてもらう必要があるが、情報が足りず、足元がしっかりしていない今、無闇に慧を接触させたくない。

だから、今夜は下調べだ。

オーナーがどういう人間か。交渉の切り札となる情報は何か。全ての準備を整えた上で、慧に出てもらう。もちろん、俺も行くが。

(慧を危険に晒したくない…)

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目には目を、歯には歯を。
罠には罠をもって制するのが最善だ。