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4.


「まずは先日のカジノでの快勝、おめでとう。播磨から話を聞いたが、本当に鮮やかで、傍で見れなかった私を恨んだよ」

言葉とは裏腹に、加賀美に悔しさが滲む。

だが、それは注意してよく観察しないと分からない程度だ。慧も控えめに微笑んでいたが、これだけの付き合いがあるなら分かる。

(絶対、ざまぁ見ろって思ってる)

まだまだ子供なところがある。

「勝った89億2,800万のことだが…、」

「朝倉に聞いた。こちらの無茶な要望を聞いてくださって、心より感謝している」

「勿体ないお言葉だ」

加賀美は肘掛けから腕を離し、スーツのポケットから煙草を取り出す。まだまだ吸われていない中から一本取り出して銜え、窺うように慧を見た。どうぞ、と慧が短く言葉を発する。

片手でライターの火をつけ、もう片手で火が揺らがないようにライターを覆う加賀美はそれだけで様になっていた。炎を見詰めるべく視線が離れた数秒、それだけで気が楽になる。

吐き出された濃い白煙。慧が時々吸っているものよりずっと、ずっと濃い匂いだった。

染み付いたら取れなくなりそうな。

加賀美は堪能するように目を細め、白煙を空中に吐き出してから静かに俺達を見た。徐々に薄くなって、ついに白煙は溶けて消えていく。

「ホテルをお探しだと伺った」

「会社が業務を広げる予定でして…。本日はその話で参りましたが、勝ち分は帳消し、さらに金額の上乗せでご承知して頂けると」

「確かに朝倉様にそう申し上げた。…で、清宮様はいくらまで上乗せしてくださる?」

「…朝倉が申し上げたはずだが、」

「あなたの口から直接お聞きしたい」

100億。そう答えれば問題ない。

最初に提示した金額は80億だが、最終的に加賀美が同意した金額は100億の上乗せだ。加賀美も御曹司と執事があらかじめ打ち合わせしたと予想するから、そのまま答えれば大丈夫だ。

だが、慧は予想斜め上の返し方をした。

「このホテル、さぞご自慢だろう。ご自身で値をつけるとしたらいくらになる?」

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目には目を、歯には歯を。
罠には罠をもって制するのが最善だ。