奇跡だって信じてる
「今日も、暑いわねぇ。」
様々な蝉の鳴き声が交差する住宅街の中、夏季講習の為夏休みだというのに学校へ向かう蜂蜜色の髪をした少女。じわりと肌は汗ばみセーラー服が纏わりつく。
できるだけ木陰を歩くようにしながらふと視線を横に移せば見慣れない白髪頭の男性がだるそうにスクーターで坂を上がるのが見えた。
彼の向かう先には見知った校舎。
「先生…、かしら。」
白髪だというのに年は若くて、興味が、湧いた。
そして聞こえる彼を呼ぶ声、その中によく知った声をみつける。
ああ、あの人達の担任の先生…、
弟がいつも話している、確か名前は銀八。
初めて姿を見た。何故か目が離せない。
そのまま姿が見えなくなるまで立ち止まり、見つめていた。
気がつけば時間はもう8時をまわっていて、慌てて自分も学校に向かった。
「なんだか、…不思議な人。」
知らず知らずの内に惹かれていた。
この気持ちがなんなのか、よく分からないけど。それからずっとあの白髪頭、否、銀髪が頭から離れないでいる。今までは幼馴染がそうだった。どうしようもない焦燥感と、期待が胸を占める。
奇跡だって信じてる
(ねぇ、そーちゃん)(もっと教えて、)(……先生のこと、)
090804
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