きっとこれは不変
「明けましておめでとうございます、」
「あら、つっ君!明けましておめでとう」
元旦の朝、陽の光りと共に射し込む寒さによって起こされ、早々に暖房の効いているリビングに向かう。そこには既に自分以外の同居人が集合し、正月料理を並べていた。そこに新年の挨拶をしつつ入っていけば、台所に向かってご飯の準備をしていた母親が早速応えてくれる。そうして席につき一つ、欠伸をしたら、丁度準備が終わったのか全員が席に着いた。
「つっ君顔は洗ったの?」
「当たり前だろー。んじゃ、いただきます。」
もう、反抗期なんだから。
という声を聞きながらおせちの入った重箱から煮物をつまんだ。
それから一通りの料理を食べ、そろそろ食事も終了だという時、不意に母親が立ち上がった。
(……よっし、)
母親は棚の中を少し漁り、小さな袋をいくつか取り出した。
にこにことしながら席に戻ればチビ共にその袋の一部を渡す。
「はい、ランボちゃん、イーピンちゃん、リボーンちゃんお年玉よ。」
それぞれの袋に入っていたのは飴と、某ラーメン駄菓子と、コーヒー豆。三人とも満更でもなさそうな顔をし、ランボに至っては既に口の中に入れている。
「それからはい、フゥ太君、つっ君の分。」
今度はきっちりお年玉。
中にはそれぞれの年齢に相当する金額が入っている。お礼を言い、ポケットにしまう。
「最後はビアンキちゃんよ。」
いまだにこにこしながら皆を眺める母親に、ビアンキは貰えない。と返そうとする。が、貴方は私の子供のようなものよ、と半ば諭されるように言われれば受け取らざるをえなくなる。渋々と受け取るビアンキだが、自分に母親的存在がいる、と実感し、その顔には微笑みが称えられていた。
「それじゃあ皆、ごちそうさまでいいかしら?」
「ええ、手伝うわママン。」
「僕も!お皿運ぶね!」
「まあ、ありがとう!じゃあ、お願いしちゃおうかしら」
それからその場にいた全員でお皿を洗ったり、拭いたり、片付けたり。その後も皆で家事を手伝った。
その間ずっと、皆の顔は笑っていて。何故だか寒さが気にならないくらい、体が温かかった。いや、これはきっと心が暖かいんだろう。新年早々家中に幸せな空間が出来上がっていた。
きっとこれは不変
(今日は皆どうしたのかしら、)(母さんはわかんなくてもいいんだよ)
090103
───
新年フリーでした。今は違います。
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