HAPPY BIRTHDAY 高杉!


「神楽ァ、今日お前新八ん家泊まれー。」

「なんでヨ。」

「いーから、ほら、さっさと行けって。」


まだ陽が沈むには早い、午後5時を少しまわった時。
万事屋に居候している神楽を追い出し、新八と一緒に帰らせた。理由は簡単、これから客が来る。そして深夜、いや、明け方まで馬鹿騒ぎするだろう、だから。
銀時は読みかけのジャンプを置きそろそろ訪れるであろう客人たちを思い1つ、溜息を吐く。台所をあさり、いつか買った焼酎と、昼間買った大量のつまみを出す。


「ったく、なんで俺ん家なんだよ…。」


そう悪態をつくも口元は綻んでいる。
そうしている内に時は経ち、突然玄関が騒がしくなる。どんどんと強く戸を叩く音がし、頭をかきながら招きいれる。



「金時―っ!久しいのぉ!もう晋助らはきちょるがか?」

「あ?何、一緒に来たんじゃないの?え、お前だけ?」

「なんじゃ、まだきちょらんのか。まぁ、その内来んじゃろ!酒じゃ酒じゃぁー!」

「は?!おまっ、」



ずかずかと中に入っていく彼を追おうとしたが視界に見慣れた長髪が入りそのまま玄関で待機。


「よぉー、ヅラ。」

「む、銀時か。もう皆集まっているか?」

「いや、まだ辰馬だけ。」

「何?まだ高杉は来てないのか。全く、主役が遅刻とは…」

「まぁ、先に来られるよりはましだろ。」



それもそうか、といえばこれまたずかずかと室内に入っていく。
そんな昔馴染みらに溜息を溢しつつ自分もリビングへ向かう。
そこではすでに頬を赤らめた辰馬がいて、2人は同時に大きな溜息をついた。


しばらく3人は飲み続け、夜も10時を過ぎたところで今度は戸の開く音がした。
しかし誰もその音に気付かず、入ってきた人物は中の光景を見て絶句した。



「んぁ?おぉーっ!晋助、おまん遅かったのぉー!もう飲み始めてるきー!」

「…遅いぞ、高杉。貴様がいなければなにも始まらんぞ。」

「……バカ言ってんじゃねーよ。何が始まらないだ。完全に出来上がってるじゃねーか。」



先の3人はすでに酔いがまわり、顔が赤い。
桂に至っては正座し、高杉に対して説教をたれている。襖に向かって。


「おい、ヅラ。どこ見てやがんだ。…高杉はこっちだろ。」

そう言った銀時の指差す方向は窓。


「お前ぇもちげぇよ!俺はここだ!」

「晋助!おまんもそんなとこにつったっとらんとこっちで一緒に飲めばよかー!」

「……はぁ、」



そう言われ辰馬の隣に座りグラスをとる。だばだばと溢れんばかりに酒をつがれ、慌てて口に運ぶ。そのまま矢継ぎ早に飲まされすっかり自分にも酔いがまわってしまった。
ぼーっとするあたまで、それでもつがれればまた飲む。
ふと、酒が止み、なんだと思い顔をあげると3人が企むような、いやな笑いをしてこちらを見ていた。


「…んだよ。」

「高杉ー、今日は何の日かわかってるよな?」

「あ?」



今日?今日は……あれ、何日だ?
あー……、



「おま、まさか忘れてんの?マジで?」

「…なんなんだよ。」

「はぁ〜、ダメだよこいつ。バカだ、辰馬よりバカだ。」

「アッハッハーッ!
……泣いていい?」

「馬鹿者!今日は10日だ!それでも思い出さんか!」



10日…?
はちがつ、とおか…。



「あ…。」


「やっと思い出したか、バカ杉。」

「てめぇ、」

「お前の、誕生日だろう、」



そう言って3人は手近な焼酎瓶を掴むと一斉に高杉の頭からぶっかけた。


「っ!、のやろ!何しやがんだ!!」

「ぶわぁ〜か!俺らがおめでとうなんて言うと思ったか!」

「自惚れるなよ、俺らは言ったはずだぞ。次に会ったときは貴様を斬る、と。」

「…あァ、覚えてるさ。」

そして沈黙、お互いに睨みあう中、突如響く笑い声。
3人は腹を抱えて笑いだした。高杉は意味が分からずただ、ただ、目を見開いたまま3人を見つめる。


「おめでとう、高杉。」


桂と銀時の口から同時にこぼれた言葉。それに続き笑いながら祝いの言葉を述べる辰馬。いまだ呆気にとられている高杉に、また、焼酎をかける。


「……んだよ、」




それからまた飲み始める。
酒の勢いは止まらず、むしろ勢いを増して。
気付けば皆眠っていて、朝、やってきた新八と神楽に叩き起こされる事となる。















HAPPY BIRTHDAY
TAKASUGI..




090804

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