こんにちは淡色の世界
鳥篭に鍵は無い。
扉は朽ち、容易く口を開ける。
手足に纏わりついていた枷は疾うの昔に錆び、篭の底辺に沈んだ。
今、僕を繋ぎ留め、戒め、遮るモノは何も無い。
それなのに、ここを出ようとしない僕はきっとどうかしている。
多分、主の望み通りに僕は暮らしている。
喜んでくれるだろうか。
傍らで純白の影となった主は……
『骸君、君は従順に働いてくれるね。とても嬉しいよ。』
『……ありがとう、ございます。』
『君の望みは何だい?一つ、聞いてあげるよ』
『ボンゴレ、に…会いたい…です。』
『あはは、ゴメンね骸君。君の慕う彼はね、』
今、僕の周りは古く黒ずんだ赤で染まっている。
かつて主だった、真白な彼が、零した紅で。
嗚呼、愚かしや。
僕は何時だって戯言の中でしか生きられない。
主よ、こんな僕をどう思いますか?
貴方を朱に染め上げたこの僕を。
あれだけ足掻いていた僕が、貴方が動く事の無いバンボラとなった途端にここに佇んでいる。
貴方は笑いますか?
きっと、笑うのでしょうね。
こんにちは淡色の世界
(ボンゴレ、)(貴方に逢いたい。)(ずっと…お慕いしております)
080811
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