暫しの別れ

程なくして私は黒の組織に潜入することになった
こんな重大な仕事を新人に任せるはずがないから、きっとリボーンが根回をしてくれたんだろう


結局、風見さんがあれほど会わせたがっていた上司とは一度も会えないまま長期任務に入ることになってしまった…
1度くらいお会いしたかった、潜入した後は定期報告以外にはここに近づくこともないだろうから今よりももっと会いにくくなってしまうんだろう




「かりん」




優しい声に顔を上げるとツナがカップを二つ持って部屋に入ってきた所だった

ここはボンゴレの屋敷で彼の仕事部屋


久しぶり、と挨拶のハグをして顔をあげればツナはなんだか情けない顔をして私を見てる

リボーンがいたらボスが情けない顔してんじゃねぇと一発撃ち込まれてたかも知れない





「もう、なんて顔してるの?」

「だって心配で、」

「うちのお兄ちゃんは心配性だなあ」




そう笑えばツナの下がっていた眉がきゅっと持ち上がる




「心配するに決まってるだろ!
それに母さんになんて言えばいいんだよ…」

「好きな人追いかけてアフリカに移り住んだから当分会えないとでも言っておいて」

「母さんなら信じそうだけど…」

「それでいいの」




いらない心配なんてせずに幸せに生活してほしいもの
お母さんは沢田家の太陽だからね





「それよりももうすぐ潜入することになったって聞いたけど…」

「そう、思ったより早かったからきっとリボーンが根回ししてくれたんだと思う
…だからそんな顔しないでって、大丈夫。上手くやってみせるから」

「絶対に焦らないで、危なくなったら俺やリボーン、誰でもいいから助けを求めること」

「うんうん
命を一番に、でしょ?」




いろんな人から耳にタコができるくらい聞いた言葉

言われ始めたのは確かリボーンが家にやってきた中学の頃でそれからは何かある度に言われ続けてる気がする




「あぁ、そう言えば潜入するにあたって偽名付けなきゃいけなくて…
米花町周辺だと園子…鈴木財閥のね
に会う可能性が高いから結羅を名乗ることに決めたんだけど問題は無い?」

「ああ、問題は無いよ」

「よかった」




それから少しだけ兄妹水入らずの時間を過ごしてお開きになった











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