ホイホイ

売店の袋を引っさげて病院の廊下を歩く

今日はカンパニーで取引のある令嬢のお見舞いに来ていた
そして今はそのご令嬢のお使い帰り、だったんだけど廊下の先には事件ホイホイー…げふんげふん。



「コナンくん!」


「結羅姉ちゃん!?どうしたの!?」

「今日は知り合いのお見舞いに来たの、」




コナンくんはどうしたの、と聞こうと思ったけれどそれよりも隣の目付き鋭いお兄さんの視線が気になった

何を考えているのかわからない表情で私をじっと観察してる
このニット帽のお兄さん、たぶんバスジャックの時にマスクをつけてた人だ、そして私のさっきに気がついた人。
瞳の色が珍しいからすぐに思い出した




「コナンくんのお友達?」

「友達って言うかー…あはは…」




なんとも歯切れの悪い答え
まあ彼は信用出来る人間とできない人間の選別がうまそうだからコナンくんが信用出来ると思った人ならいいんだけど


きっと既に何か事件に巻き込まれているであろうコナンくんにジャンニーニお手製の超小型盗聴器を仕掛ける

だって殺し屋みたいに目つきの悪いお兄さんと一緒にいるなんて…きっとなにかに巻き込まれてるに違いないもの。






「こんにちは、沢田結羅と申します」

「赤井秀一だ」




赤井秀一?…組織の人間にシルバーブレッドって呼ばれ恐れられているFBI捜査官の赤井秀一?
彼が本当にその赤井秀一なのであれば、この病院にはFBIに囚われたと噂のキールがいる可能性も高いな…これは盗聴がいがありそう。


1度会いたいと思っていたけれどこんなに早く会えるなんて運がいい、有名人に会えた気分

…確かに組織に馴染めそうな雰囲気をしてる。




「結羅姉ちゃんその袋なぁに?」

「これ?コーヒーだよ
知り合いが飲みたいって言うからお使いの帰りなの」

「それってどんな人!?おとのこ人!?」

「え?ううん、女の人だけど…どうして?」

「へへ、なんでもなぁい」




男の人だと何かあるような聞き方だったけど相変わらずの誤魔化し方だなあ




「じゃあ私は知り合いのところに戻るけど、何かあったら頼っていいからね」




公安である私を。
という意味を含ませてコナンくんの頭を撫でてから会釈をして2人と別れる

少し歩いて振り返れば赤井さんもまたこちらを振り返っていた



「それにしてもやっぱりコナンくんは事件ホイホイだなー…」









「それじゃあお大事に、またパーティーでお会いしましょう」

「ええ、お見舞いありがとう」




ご令嬢のお見舞いを終えた私は愛車に戻って一息。


さてさて、紅茶でも飲みながら大人しく盗聴でもしますか
さっそくこれまたジャンニーニお手製の小型イヤホンをつけ盗聴開始。

ザザ…と言うノイズの音の後にクリアなコナンくん声
よし、ちゃんと機能してる。





〈ー…の跡だろうしね〉

〈でも、だったら…だったら何で僕に教えてくれなかったの?
なんで名前まで変えてアナウンサーなんかしてたんだよ!〉

〈瑛ちゃん…〉




キールの声だ、間違いない。
本当にこの病院にいたんだ…

と、言うことはこの病院には彼女を守るFBIが赤井さん以外にもわんさかいたはず…その中にはきっとジョディも。





〈仕方ないよ、お姉さんの正体は…CIAの諜報員なんだから〉




キールがCIAから送られてきたNOCね…それは納得出来る所がある
確かにそれらしい行動が全くないかと聞かれればそうでもなかったもの


話はキールがCIAだと言うところから彼女たちの父親…イーサン本堂の死の話にすり変わる。
実の父親をキールが殺した、と…これ以上は私が許可なく聞いていい話じゃないだろう

盗聴器のスイッチを切って、愛車のエンジンを始動させる
水無怜奈の事はFBIとコナンくんに任せても大丈夫そうだから私は精々その邪魔をしないように気をつけていよう








人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -