水無怜奈




「えぇ?このままキール達と合流する?
…まあいいけれど」




次の任務の最終確認場所が私を送り届ける途中にあるから私を乗せたまま行った方が効率がいいと、ウォッカはそう言った。
それなら適当なところで下ろしてくれたって良かったんだけど私がそれを口に出す前に車は既に待ち合わせ場所であろう駐車場に入ってしまった

ま、他の幹部がどんな任務をしているだなんて普段知ることが出来ないからそれを知るいい機会ね



「おい、キールはまだか」



キールとの合流時間は10時、時間を超えても姿を見せない彼女にジンは早くもピリついた雰囲気を醸し出していた

彼女が遅刻だなんて珍しいんだからもう少し待ってあげたっていいのに




ーー


結局キールの車が入ってきたのは10分ほどすぎてからだった
なんでも追尾されている感じがしたから念の為撒いていたのだとか



「問題はねぇんだろうな」

「ええ、ただの思いすごし
だからドア越しに構えてるそのべレッタ、鞘に収めてくれない?
妙な勘ぐりで私を撃てばDJは殺れないんじゃなくて?」




キールは強気に目を細めた

彼女がいないと殺れない、という事はアナウンサーの水無怜奈が必要不可欠ということだろう




「まあいい、このビルの500メートル四方には我々の目が届いている…妙な車が近づけばすぐに分かるだろうからな」




ジンがベレッタを懐に収めたのを確認してから今回の任務の最終確認のために時間や場所を口頭で確認し合う

今回は暗殺が目的なのね、いや堂々と行うのだから暗殺と言うよりもただの殺しか
しかし毎回思うけどこの確認の方法だと盗聴されてたら一発アウトじゃない?
もっとバレない方法をとった方がいいと思うわ、もちろん言わないけれど。


そうしているうちにキールの車の隣にもう1台車が止まった
中にいたのはキャンティとコルン。
キールは誘き出す係で、キャンティーが実行犯って事らしい




「このスコープのど真ん中にやつを連れてきてあたしを興奮させておくれよ」

「ええ、失敗しないでちょうだいね…
私たちの功績は日の目を見ることは無いけれど、失敗はすぐに知れ渡ってしまうんだから…」




ハンドルにもたれかかって呟くキールに静かに視線を送る

その言葉は…確かCAIが使う言葉じゃなかったっけ?
疑問に思ったのは私だけではないらしく、
隣に座っているベルモットも眉間にシワを寄せ思案顔をみせていた




「さあ、そろそろ時間よさっさと片付けて私とアリスの出番は無くしてくれる?」

「いや、わた…「ちょっとなにさ、なんで、なんでこの女がいるわけ!?」




キャンティがヒステリックに私の言葉を遮ってベルモットを指さす
ベルモットはつい最近カルバドスを見殺しにしたばかり、彼はキャンティやコルン達と仲が良かったからその事を根に持ってるだろうけど

私はただ任務の帰りで乗り合わせてるだけで今回の任務には関係ない、て言いたかったんだけれどベルモットに噛み付く彼女には聞こえないだろう




「じゃあ私はこれで、任務成功することを祈ってるわ」



任務内容も確認出来たことだしもうこの車にとどまる意味は無い

雨が降っていて少し面倒だけれど、このまま待っていたってキャンティのおかげで任務の確認は一向に終わりそうもないんだもの




「アリス、ここでいいのか?」

「ええ、またね」






結局この任務が成功することはなく、さらにキールは姿をくらませた。

ベルモットからの情報が正しければFBIに匿われどこかの病院にいるんだとか…










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