栄養

久々の、ほんとにひっさびさの丸々の休みの日
私は年に何度かある同盟ファミリーの会合のためにイタリアに飛んだ

会合の日程はわざわざ私の休みに合わせてもらったから何としても行かないとと山積みにされた公安の仕事を終わらせてきた私を褒めて欲しい





「お前…痩せたな。」





スーツを直させる、と私に渡すはずだったスーツを持って部屋を出ていくリボーンとは反対にツナは眉間にシワを寄せて私のほほに手を当てた


近くで感じるツナからの心配MAXの視線はとても居心地が悪い
私の罪悪感がMAXまで跳ね上がってるよ



「ご飯はちゃんと食べてる?」

「ー…きちんと食べてるよ」

「ちゃんと目を合わせて答えようか」




でも本当につい最近まで風見さんと深山さんに栄養管理はされていたし3食ゼリーはやめてちゃんとお弁当を食べてるから嘘はついてない、嘘は。


ジャンニーニに家事ロボットでも作ってもらおうかそれとも、もしものために戦闘も可能なシェフを私の新居に住みこませるかなと真顔で思案するツナにギョッとした

ジャンニーニもスパナも売れっ子で素晴らしく忙しいんだから変な依頼をしちゃ可哀想





「みんな忙しいんだから変な仕事を押し付けないでよ」

「冗談だよ」




本当に依頼はしないとは思うけど念のために、と忠告すればとってもいい笑顔で微笑んだ

やばい、この笑顔は本気だったな。
栄養管理はしっかりしないとジャンニーニとスパナの只でさえ少ない睡眠時間がまた削られることになってしまう。頑張ろう。





「スーツは会議一時間前には完成する予定だ」

「ありがとう」




リボーンが戻ってきた、と思えばそのままツカツカと私の目の前までやってきてぐっと顎クイというものをされしばらく目を見つめられたかと思うと躊躇なく瞼をめくられた


「ちょ、」


その手を払い除けるために私が挙げた手を逆に捕まれ脈をはかられてから私の肉付きを調べるように腕や腹をぎゅっと掴まれる




「健康状態は最悪だな、会議の前に栄養を取れ」

「最近はちゃんとしてたよ?」

「最近、な?
獄寺には既に話をつけてあるからツナ、お前も一緒に食ってこい」

「了解」




***



「10代目!かりんさん!
お待ちしておりました」




お玉片手にくるりと振り返った隼人は私の姿を認めると一瞬で顔を青くした




「随分不健康な痩せ方を…」

「あはは…」

「リボーンさんから話は聞いています。
沢山食べてしっかり栄養を蓄えて下さい!」





どーん、とどう考えても二人前ではない量のおかずがテーブルに並べられた

…これ食べきらなきゃいけないのかな…







会合は特に問題なく終わった。
話もうまい具合にまとまって、これからもいい感じの関係を続けていけそうでよかった


そこからすぐにそれぞれ車に乗り込んでパーティー会場に移動するんだけどそこではボスの到着を待たずしてすでにパーティーは始まってる

そして出席ファミリーのボスと付き人ひとりが参加する会合とは違いパーティーは同盟ファミリーに所属しているものなら誰でも参加できるもので、つまりスパイが入り込む可能性も高くなるわけで…ある意味では会合よりもパーティーの方が神経を使う。
気を抜いてうっかり殺されないようにしなくちゃね


パーティー会場に到着してしばらく、人の群れを避けるようにして見知った人がこちらに歩いてきた





「かりん、少しいいかい?」

「久しぶり、恭弥」




彼が途中で取ってくれたソフトドリンクを受け取って会場の隅の壁に背中を預ける




「キミ、今黒の組織に潜入捜査してるんだろう?」

「うん、中々ボスの尻尾を掴めなくて苦戦してるけど」

「そんな君に良くない情報だよ、どうやらこの会場に組織の連中が紛れ込んでるらしい
誰とまではわからないけどどこかのファミリーに潜入していたノックが入り込んだんだろうね…全く迷惑な話さ」

「…情報ありがとう、助かるよ」




ほんとに迷惑で、面倒な話だ…

今日くらいは公安や組織から開放されて、純粋に久しぶりのパーティーを楽しもうと思っていたのに
…ゲームセンターといい、バスジャックといい最近ツイてない…


そのノックが幹部にも満たないような下っ端なら別に問題は無い。
髪も目も色が違うし、バッチリメイクでドレスだしまあバレることはないだろうけど…幹部なら…みんな洞察力は鋭いし感もいい。
それにあってる頻度だって多いからすぐにバレてちゃいそう
そうすればかなり厄介なことになる。




「気をつけるんだよ、
赤ん坊と綱吉にも草壁から伝えてあるから彼らも警戒はしてるとは思うけど
僕らは組織の人間の顔を全員把握してるわけじゃない」

「うん、恭弥たちも気をつけて
今はどこかのファミリーに潜入していたとしても、最終的な狙いがボンゴレだっていう可能性も0じゃないから…」




むしろその可能性の方が高いかもしれない、最終的な狙いはボンゴレかそれともキャバッローネ…か
もしかしたら全てかもしれない

まだまだ勢力を広げたい組織にとって、日本でも海外でも力のあるボンゴレやキャバッローネみたいな大きなファミリーは勢力拡大の邪魔になっているのは確かだろうから潰すために何かを仕掛けてきてもおかしくはない。


ジンからマフィアにまで手を出しているって話は聞いてないけどあれだけの武器の数…普通に考えてどこかのファミリーと取り引きをしてる可能性は十分にある。
射的場なんかもすごくお金がかかってるしどこからか支援してもらってる可能性もあるかも。



会場を見渡して、とりあえず見知った顔がないことを確認する。
たとえ変装していたとしても超直感を持つ私の前じゃどれだけうまく化けようとそれはなんの意味も持たない



後は壁際によってひっそりと目立たないように過ごそう





結局、パーティーに潜入しているという組織の人間を見かけることは無かった
組織の人間は独特の雰囲気を背負ってるからあった事はなくとも分かるかと思ったんだけど、見落とちゃったかな




「向こうも私の事を見つけていませんように…」





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