★背中★

戦いのさなか、セシルがガクリと膝をついた。
フリオニールは驚いたが、すぐに体勢を立て直し、イミテーションにとどめを刺す。
敵の姿が見えなくなると、セシルに駆け寄った。
「どうした、セシル」
「フリオニール・・・」
肩で息をするセシル。
前かがみになり、手を肩に充てている。背中のほうが痛むのだろうか。
今回の戦いでは、暗黒の力を多く使っていた。
「暗黒の力を使いすぎてしまった・・・」
そう言って、自分の体を抱きしめるようにしている。
「セシル、見せてみろ」
痛みに身を固くし、されるがままのセシルは、フリオニールに装備を解かれる。
常に交代に見張りをしながら水浴や睡眠を取ってきた二人は、裸を見せ合ったことがなかった。
複雑に入り組んでいる鎧を外していく。
籠手をはずし、肩当をはずすと、ようやく体を覆う鎧を解くことができる。
そして、鎧で覆われていた背中を見たときにフリオニールは目を見張った。

鎧から、とげのようなものが突き出ており、セシルの背中に刺さっている。
先ほどの戦いで鎧が変形して食い込んでしまったのかと思った。
とげは合計で8本にわたっていた。
等間隔に打たれている。
それが埋まっている背中から血は出ていない。
鎧を完全に脱がせてしまうと、セシルの背中に手を這わせた。
けがをしているわけではない。
皮膚にえぐれた様な引き攣りがあるが、傷口は大昔に完治し、それは穴のようになっていた。
試しにそこへ指を這わせてみる。
「・・・あぁっ」
穴の一つ一つが熱を持っている。
痛みに対する叫びとしては、恍惚とした声。
フリオニールはケアルを唱える。
セシルもケアルラを使えるが、フリオニールのケアルに比べると威力が落ちる。

「セシル、・・・これはどういうことだ?」
もう一度ケアルを唱えながら、フリオニールが言う。
「僕の世界では暗黒騎士はみんなこうなっているんだよ」
「今までずっと、こんな痛みに耐えていたのか?」
「・・・あっ・・・いつも痛いわけじゃない。あんこくを使うときだけだよ。傷はもう治っている」
「もう暗黒を使うのはやめろ」
「・・・そうはいかない。あんこくがないと戦況は不利になる。それに使いすぎなければ大丈夫」
さらにケアルを唱える。
「お前を暗黒騎士にさせたのはお前の国の王なんだろう?」
「そうだよ。陛下のために・・・んっ・・・暗黒騎士になったんだ」
「カインの気持ちがわかるな・・・」
「・・・えっ・・・?」
「こんな命令をする“陛下”を、俺だったら信用できない」
「・・・・・あ・・・ん・・・」
フリオニールに背筋を撫でられるたびに、セシルは嬌声を上げる。
勃ち上がってしまったそこを隠そうとする手を掴まれてしまう。
「戦いで消耗したら、欲情したのか?」
そう言いながら、まっすぐに見つめられてセシルが恥ずかしそうに視線をはずす。
「あっ、やめて・・・そんなことしなくていいっ」
フリオニールの手がそこを掴むと、上下に動き出した。
「こんな状態で、自分じゃできないだろ」
「だからって・・・こんなっ・・・あ、あぁ・・・」
無骨だが、的確に追い上げられる。
性に関しては無知だと思っていたフリオニールだが、処理の仕方くらいは知っているのだろうか。
「あ・・・ふっ・・・・あ、もう・・・あっ・・・」
フリオニールの暖かい手のひらの中に欲望を放った。
頬を桜色に染めて、息をつくセシル。
しかし、セシルのものはまだ萎えない。
フリオニールはセシルのさらに奥のほうが、ヒクついていることに気が付いた。
「やっ・・・そこは・・・」
自らの白濁を絡めた指に撫でられ、小さく開かされたところが指の侵入を許す。
「ダメっ・・・フリオニール!」
指を奥まで入れると、やんわりと締め付けてくる。
制止を乞う割に、ナカは喜んでいる。
熱をもってうごめいている胎内は、じっとりとぬかるんでいるように思える。
「セシル。こっちを慰めないと、満足できないんじゃないか?」
セシルは悔しそうに唇を噛む。
―どうしてそんな恥ずかしいことばっかり言わせようとするの―
目に涙を浮かべているセシルだが、フリオニールの指に感じて、セシルの前も同じように涙を流していた。
「・・・あ・・・はん・・・」
2本の指を入れたフリオニールは、ゆっくりとナカをかき回す。
指をまわしていると、セシルがぴくりと震える一点を見つける。
「んっ・・・あ・・・あぁ・・・」
高ぶってしまった体を持て余しながらも、強い快楽を体から逃そうとしていたセシルは、
もっとも感じてしまうところを的確に押さえられ悶えた。
「や・・・やだっ・・・」
指をずらそうと腰をひねると、また指がその位置に充てられる。
「な、んで・・・そんなに・・・慣れてるのっ・・・」
「だって、セシルが気持ちいいのはここだろう?」
ここを触るとひくひくするからすぐ分かる。となんでもなさそうに言う。
「あんっ・・や、そこばっかり・・・あ、は、あぁ、あ、あぁ」
中指がそこをクルクルと刺激する。性急な愛撫ではなく、弱みを徐々に燻されるように上らされる。
下腹をけいれんさせながら、二度目を放つセシルを見て、指を引き抜く。
蕩けたそこは、指を追うようにしてヒクつく。
「・・・フリオニールも、感じたの」
仰向けのセシルを押し倒すようにしていたフリオニールも前を膨らませている。
「いいよ。・・・ここに挿れても・・・」
そう言って、セシルの指が自らの後孔に触れる。
開かされてしまい、とろとろになったそこはひどく求めていた。
年長者らしく、“許してあげる”とは言っているが、本当は“お願い、はやく挿れて”が本音だった。
セシルの指がフリオニールのそれを取り出す。
「いいのか・・・?」
そして、梳き上げると、すぐに宛がった。
「ゆっくり、腰を進めてみて・・・」
フリオニールがセシルの細い腰を掴む。
期待に震えているセシルの顔を見ていると、フリオニールの脳裏には誰かの面影が重なった
『ゆっくり、ゆっくり。そう、上手だ、フリオニール・・・あぁ、気持ちいい・・・』
「あぁっ・・・」
セシルの嬌声でフリオニールは我に返る。
一番太いところをナカに収めてしまうと、セシルの緊張もほぐれたようだ。
全部入ったかな?とセシルが少し体を起こすと、まだ半分しか入っていないことに気づいた。
もうこれ以上入らないと弱音を吐こうとしたときに、フリオニールが一気に腰を突き入れた。
「うあっ」
奥の奥を突かれてセシルが叫ぶ。
ゆっくり入れるよりも、セシルはこうされたほうが善いみたいだ、とフリオニールは思った。
『フリオニール、ここだ。・・・ここを突いてくれ・・・あぁ、もっと・・・あ・・・あぁ』
褐色の指が奥深くに埋め込んだ自身を招く。案内されたところに切っ先を当てると、その体はびくっと跳ねあがった。
「あ、また、、そこっ・・・や、ん・・・まって・・・そんなっ・・・」
―セシルも感じている。・・・あの人も・・・―
髪を振り乱しながら喘ぐセシルの頬に口づける。
「んっ、あ、イ、クぅっ・・・あぁっ」
セシルのナカが引き絞られる。
搾り取られるように愛撫され、フリオニールも最奥に放った。
「あ・・・あ・・・」
叩きつけられるような、熱い奔流を感じる。

こぷっと白濁をあふれさせ、息をつくセセシルを後ろから抱き寄せる。
フリオニールのそれはまだ固さを保っていた。
それを臀部に押し当てられ、セシルはぶるっと震えた。
「もう一度・・・したい・・・?」
セシルが流し目を送る。
セシルはこの期に及んで、フリオニールをリードしようとする。
「あぁ」
フリオニールが応じる。
すると、セシルは自ら足を開いてフリオニールを導いた。
白濁でぬるついているそこに滑らすように押し当てると、セシルがまた身震いする。
「あっ・・・あっ・・・」
今度は大きく腰を使う。
大きなものが引き抜けそうになるまで出ていき、また奥に打ち込まれる。
最奥を突かれるたびに、セシルの腰がゆらめく。
それは快楽を強請るように淫靡にフリオニールを誘った。
『あっ、あっ・・・あぁっ・・・も、もう・・・許してくれ・・・フリオニールっ・・・あぁ』
自分から誘い、こうしろああしろと命令をする割に、最後は懇願してくる人だった・・・
フリオニールはセシルをめちゃくちゃに突きながら、そう思った。
『あなたから誘ったのに・・・途中でおあずけはないでしょう?』
その褐色の裸体をうつ伏せに転がし、腰を持ち上げて責め続けた。

「あ・・・あん・・・は・・・あぁ・・・」
フリオニールが我に返ると、セシルは息も絶え絶えの様子で、倒れ込んでいた。
後孔からは泡立った白濁がこぼれだしている。
セシル自身も何度か達したが、それでもフリオニールに責められ続け、今では出すものもなくなってしまった。
「すまない、セシル」
詫びて、セシルの体から出ていく。
ずるりと引き抜けるその感覚にも、セシルは悶えた。


「フリオニール・・・君は純情そうに見えて、結構遊び人なんじゃないの?」
散々無理をさせられた後、事後処理を命じながらセシルは言った。
「遊んだことはない・・・」
フリオニールに背中を預けながらセシルが咎める。
「・・・はぁっ・・・」
フリオニールの指がセシルのナカに再び潜り込む。
ゆっくりと指をまわしながら、中に吐き出したものを掻き出していく。
「セシルだって。こういうことも、その“陛下”に命令されていたのか?」
「・・・うん」
一度引き抜くと、白く糸が引くようにねばりついてくる。
「いやじゃなかったのか?」
「・・・僕は・・・陛下に育てられたから・・・これがどういうことなのかよくわかってなかった」
「小さいころから強要されていたのか」
「うん・・・陛下のことは好きだったよ。だから、陛下と気持ちいいことするのは嫌じゃなかった」
「・・・そうか」
もう一度指が中に入る。
「陛下はセシルを大事にしていたのか」
「暗黒騎士になるまではね。・・・そのあとは・・・人が変わったようになってしまった・・・」
フリオニールに体の奥に指を入れられながら、別の人の話をするのはなんだかおかしいなとセシルは思った。
そして、また体に火がついてしまいそうに思えた。
「んっ・・・フリオニールは、こんなこと、だれから教わったの?」
「俺は・・・」
「・・・あっ・・・」
思い出そうとしたときに、無意識のうちに指に力が入ってしまった。
「すまない、セシル」
「誰からか、はっきり思い出せないんだ・・・」
少し沈んだ声を出す。
「その人のことを考えると、なんだか上の空になるね。
ひどいよ、僕としているのに、ほかの人のことを考えるなんて」
セシルが拗ねて見せる。
しかし、セシルにだって、フリオニールとの行為の時に、初めて陛下に抱かれた時のことを思い出そうとしていた。
フリオニールを非難する資格などなかったが、今はただ、彼を少し困らせてやりたい思いに駆られていた。
「本当にすまない」
「・・・やんっ・・・」
謝りながら、セシルの一番感じるところをぐりっと刺激する。
「わざとやってるでしょ、あっ・・・もうっ・・・ん、んぅ」
振りむいたセシルに口づけする。
舌を絡まされたときに、セシルは乳首がピンと立つのを感じた。
だめだ・・・流されてしまう・・・
体の中を小刻みにくすぐられながら、舌を吸われる。
蕩けてしまった体に固いものが押し当てられた。
セシルはフリオニールの指先を自らの乳首に押し当てながら、腰を少し浮かせた。

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