★孤児院★

父が自殺した後、僕は孤児院に引き取られることとなった。
僕は表向きは、父と母の「ちゃんとした」子供。妊娠していた母のおなかから試験管に移されて育てられた子供として登録されていた。
まだクローン人間を作ることは法律で許されていなかったから。
僕のことを母のクローンだと言う人はいっぱいいたけれど、本当にクローンだったら、僕は女の子のはずだから、やっぱり「ちゃんとした」子供なんだろうって噂されていた。
僕はそんなのどっちだっていい。

孤児院には2タイプの子供がいた。
いつもビクビクして他人から嫌われることを恐れ、この世の全ての人間と仲良く円滑にやっていこうと努力するタイプと、暴力的・支配的な態度で他人を威圧して自分を押しつぶす孤独や無力感から逃れようとするタイプ。
僕みたいな存在は暴力に訴えるタイプの恰好の餌食になった。
僕は父から女の子の着る服しか与えられていなかったから、なんで男なのにそんな女の服を着てるのかって、初日から突っかかられた。
彼らは僕のことをこづいたり、スカートの裾を破ったりした。
そういう行動がだんだんエスカレートしてきて、僕に灯油を掛けて、女の服と一緒に燃やしてしまおうとした時、なんと、僕を助けてくれた子が現れた。
僕はここで死のうが、どうでも良かったから、抵抗せずにいたんだけど、その子はいじめっこを押さえつけ、頭を殴ると、すぐに服従させてしまった。
僕に、その子は王子様に見えたし、その子には僕はお姫様に見えていた。
汚れてしまったスカートの裾を、彼は拭ってくれた。
僕が「ありがとう」というと、その子は顔を赤らめて笑った。
礼なんかいい、当然のことだと言って、名前を名乗った。
「俺はカイン」
カイン。カイン。君も僕が女の子だったら良かったのにと思ってる人間の一人かな。
折角助けてくれたのに、無駄骨で終わらせて本当に悪いなと思った。
その時からカインは僕を守ってくれるようになった。女の子として。

あんまりにも僕のことを意識しているカインを面白いなと思って、僕はカインに意地悪な悪戯をした。
「ねえ、カイン。スカートの中を見てみたい?」
僕は真っ白なレースのスカートを太股のところまで持ち上げながら言った。
カインは、一瞬目をむいて、視線を反らした。
「よせ」
スカートをまくりあげる僕の手を押さえながら、かっこよくそんなことを言った。
本当は見たいくせに。
「見るだけじゃ物足りないなら、触ってもいいよ」
僕はカインの手を強引に掴むと、スカートの中に引っ張りいれた。
「よせったら!・・・ッ!!!」
カインは自分と同じ物を僕の股の間にも確認すると、目玉が飛び出るほど驚いてた。
僕は大笑いした。
かわいそうなカイン。これでお別れだね、僕はそう思ってたけど、カインは次の日も、僕の所へやってきて、同じように僕を守ってくれた。
それまで手をつなぐのも恥ずかしがってたみたいだけど、僕が男だと思って安心したのか、僕の肩を組んだり、腕を組んだり、なんだかなれなれしくなったみたいだ。
こういう人もいるんだね。
そういうつもりじゃなかったんだけどな。

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ゲイの素質のあるカイン(笑)

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