★La bataille★

初めて、朝の剣技場で試合をしてから、カインとセシルの仲は急速に発展していった。
学校の中では、今まで通り目があっても挨拶すらしなかったが、始業前と終業後は顔を突き合わせることが格段に多くなった。
二人は毎朝一緒に稽古をした。
学校の授業が終わると、セシルはカインの邸へ遊びに行った。
カインの邸にはいろいろなものが置いてあった。
バロンの古い歴史が記された本、古代ミシディアで行われていた呪術の本、そして、全盛期の戦いに使われていた鎧兜、そして、セシルがまだ扱ったことのない真剣が飾られていた。
セシルが家にあるものを珍しげに眺める様子はカインを得意にした。
セシルの城での生活は、カインが想像しているよりも無味乾燥なもので、王はセシルをほったらかしにしているように思えた。
セシルは何の飾りもない石造りの塔で、暇つぶしにと宿題のために教科書を広げ、夜になったら眠るだけだと言う。
その味気ない生活を毎日していたために、カインの邸にあるものは何でも新鮮なものに映った。

カインは真剣をまじまじと見ているセシルに提案をした。
「どうだ、この剣で一度試合をしてみないか」
腕を組み、勝ち誇ったような顔をセシルに向ける。
「えっ!」
セシルは驚いてカインを振り返った。
「もし、剣で怪我をすることがあっても、白魔道士がどうにでもしてくれるだろう」
セシルの少し怯えたような瞳に、カインは嘲笑的な瞳を投げかけた。
勤勉なセシルを、悪い誘いの中に引き込む悪徳にカインは酔っていた。
セシルはもう一度真剣の方を振り向くと、カインに向かって頷いた。
二人はガラスケースの中から、真剣を取り出した。
自分の勇気と大胆さを示すかのような、英雄的な悪が二人を満たしていた。

ハイウィンド邸に備え付けられた剣技場で、二人は対峙する。
相手を殺しうる武器を携えて立つ。
カインは、セシルの肌を傷つける可能性を想うと恍惚としていた。
真っ白な肌に流れる鮮烈な血。そしてセシルの彫刻の様な顔に、苦悶の表情に歪む瞬間を想った。
セシルの方では、カインが悪友として自分を認めてくれた事を嬉しく思っていた。
真剣をカインに向けることは躊躇われた。
しかし、真剣をふるってみたいという欲望に屈してしまった。

試合は始まった。
始めは恐る恐る、二人は剣を扱った。
しかし、何度も剣を交えるうちに、お互いの剣筋は大まかに予測可能だったので、相手の攻撃を防ぎ、自分の攻撃を防がれている内に、戦いにはだんだんと熱がこもってきた。
大胆な一撃を浴びせかける。
セシルの攻撃がカインを掠める。
カインは命をセシルに取られるかもしれない高揚感を抱いた。
死の予感が二人を昂ぶらせ、二人はお互いに猛攻に出た。
練習に使う剣よりも、重い真剣を何度も振るううちに、体力を消耗し、結局勝敗はつかなかった。
二人は剣を降ろすと、床に倒れるように座り込んだ。
「引き分けだな」
カインが笑いながら言う。
その顔の中には、達成感が漲っていた。
「こんなに張り詰めた戦いは初めて」
息を弾ませながらセシルが言った。
銀髪が汗で額に張り付いている。
「シャワーを浴びよう」
カインがセシルを促した。

服を脱いでシャワーブースの中に入る。
カインはブースの中で、少したじろいでいた。
真剣を扱い、体力の限界まで戦い合ったこの高揚感の中で、カイン自身は完全に勃ち上がってしまった。
脳は未だに興奮状態から覚めず、自身の収まる気配がない。
セシルの隣のブースで、自慰に耽るのはどうかと思い、たじろいでいた。
しばらく熱いシャワーを浴び続ける。
「・・・んっ・・・」
すると、隣からかすかだが、セシルの喘ぎが聞こえてきた。
もしかしたら、セシルも自分と同じ状態になっているのではないか。
カインは期待を抱いた。隣でセシルが自分を慰めている様子を想像すると、自身の暴走は止まりようがないほどになってしまった。
「セシル?」
しらじらしくカインはセシルを呼んだ。
少しの沈黙の後
「な、何?」
あからさまにたじろいだ声が聞こえてきた。
カインは自分のいるブースを出て、となりのセシルを覗きに行く。
「カ、カイン!?」
片手で自分の口元を押さえ、もう片方の手で、自身を握っているセシルがいた。
「やっぱり、お前もか」
セシルが視線を下に向け、カインの状態を確認すると、恥ずかしそうに目を反らした。
カインが自分のいるブースの中に入り、扉を閉めてしまうと、セシルはますます動揺した。
何か言おうと開きかけた口を、カインの唇に塞がれてしまった。
「んっ・・・んぅ!」
カインがキスをしながら、セシルのものに自分のものを擦りつけ、手で同時に梳き始めた。
「はっ・・・んん・・はぁ」
セシルは成す術もなく喘いだ。
「気持ちいいか・・・?」
熱に浮かされた瞳で、カインはセシルに訪ねた。
冷たい理性が宿るカインの瞳が、官能にとろけている様子にセシルはぞくっとした。
「ん、きもちいい・・・あぁ・・・」
眉を寄せて喘ぐセシルの頬に、カインが再び口付けを落とした。
強く擦り上げ、二人は同時に果てる。
ぴったりと寄り添いながら、二人は息を弾ませていた。

茎を握っていたカインの手が、セシルの後孔に滑り込んできた。
「カイン!何してっ・・・あっ・・・」
入り口を撫でると、セシルが怯えたような声を上げた。
その様子があまりにも初々しく、陛下の夜伽をしているという噂はウソではないかと思った。
もしかしたら、陛下に操立てをしているのではないかとの疑いも同時に巻き起こった。
しかし、セシルの蕾はカインの指に動揺し、侵入を防ごうと窄まった。
「初めてか・・・?」
耳元で、カインの低い声に囁かれ、セシルは必死で首を縦に振った。
カインは口元に笑みを作る。
「嫌か?」
中指が根元まで埋まった。セシルの脚はガクガクと震えている。
セシルは頬を真っ赤に染めながら、今度は首を横に振った。
カインは確信を持って、指を使いだした。
「あ・・・ふぅっ・・」
耐えるような吐息がセシルから漏れる。
指を3本まで増やすと、始めは抵抗を見せたが、馴染む頃にはセシルの声は甘い喘ぎに変わっていた。
「あぁ・・・はぁん・・・」
セシルの腰が跳ねる。カインの繊細で器用な指が、セシルの中を動き回る。
セシル自身は再び勃ち上がり、震えていた。
カインは指を引き抜くと、自身をセシルに宛がった。
そこにカインの息吹を感じ、セシルの身は強張った。カインが何をするのか、セシルは恐る恐る見つめる。
切先がめり込んでくる。
「あっ、そんな・・・はっ・・・」
ゆっくりと抜き差しを繰り返しながら、奥へ奥へと入ってくる。
「あぁ!」
カインが最奥まで到達する。奥の柔らかいところを犯され、セシルは身悶えした。
「大丈夫か?」
セシルの髪を撫でながら、カインが様子をうかがう。
目をきつく閉じ、セシルはコクコクと頷いた。
セシルの内部はきゅうきゅうとカインを締め付けた。
ゆっくりと抜き差しを始める。
「うぁ・・あぁ・・や、あん」
中をこねるように腰を回すと、セシルが首をのけぞらせた。
白い首元にカインが舌を這わせる。
「はぁ・・ぅんん、あ、あぁ」
セシルの目尻から水滴が落ちる。涙なのか、シャワーの水なのかわからなかった。
「もう、もうやめ、て」
とぎれとぎれにセシルが懇願してきた。
セシルを追い詰めているのは、陛下ではなく、自分という事実はカインを高揚させた。
「おかしくなるぅっ・・はぁん」
首を弱弱しく横に振りながら、セシルが喘いだ。
カインも限界が近い。
「セシル、一緒に」
腰をセシルに叩きつけると、セシルが白濁を放った。
内部が強く引き絞られ、カインもセシルの中に欲望を注いだ。
「やっ、熱いっ」
セシルの背がのけぞった。

セシルは立っていられず、その場にへたり込んでしまった。
後孔から流れる白濁が、タイルへと落ちて行く。
カインは、王とセシルに何ら交渉が無かったことを確信していた。
セシルに初めて傷を負わせたのが自分で、セシルを初めて貫いたのも自分であることを確信した。
空をふわふわと飛んでいた小鳥を、巧みに捕まえて鳥かごの中に幽閉したような達成感に打ち震えていた。
誰も、セシルの噂の真偽を知らない。
本当のことを知っているのは自分だけであり、その上、陛下ですら知らない秘密を、新たに打ち立てたのも自分だ。
カインは今日の功績を胸に刻んだ。

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カインがセシルを憎んでいる話を書くのが不可能だとわかったので、独占欲でカインの頭がおかしくなる話にしようと思いました。

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