★許してあげない★

自分を守らせてほしいという、この男の言い分が、なんと都合の良いことかとリディアは呆れもしていた。
わざと危険なモンスターの前に躍り出て、自分をかばわせ、傷を負うセシルに意地悪な笑みを向けたことがある。
セシルは何も言わずにリディアに従い、リディアのために傷を負った。
幼心の挑発の代価としてはあまりにも酷い傷に、リディアはセシルに同情してしまうことがあった。
セシルの誠意に心のわだかまりを解いて、優しい手を差し伸べても良いのではないか。

しかし、リディアは気がついた。
モンスターとの戦闘が終わった時、旅の途中の悪路を抜けた時、何かを達成した時に見せるセシルの目。
共に歩く道すがら、リディアはセシルの表情を見つめていた。
セシルの瞳には、罪を犯し、その罪を償った人間が持つ、信念のような光が輝いていた。
その光は、肉体に大きな傷を負った時ほど輝いていた。
自分を犠牲にすることで、セシルは罪を償った気になっている。
この考えはリディアの気に障った。

また、モンスターと遭遇する。
剣を構えるセシル。
モンスターに攻撃をしていく。
徐々に強くなってきたセシルだが、それでも手を焼くモンスターもいる。
深手を負いながら、セシルは反撃にでようと剣を振り上げた。
リディアは持っていた鞭を振り上げ、セシルの剣に絡ませる。
突然、剣を後ろに引っ張られ、セシルの手から剣は落ちてしまった。
後ろを振り返る。
そこには、自分から剣を奪い去り、鞭を片手に持ってこちらを睨んでいるリディアがいた。
セシルの瞳は一瞬驚愕に見開かれたが、すぐに悟ったような目に変わった。
―君がそう望むのなら―
何もかも受け入れて、何もかもを諦めようとする瞳。
この瞳が許せない。
リディアは思った。
モンスターの鋭い牙がセシルに襲いかかる。
その牙が自分の体に食い込もうとするとき、セシルは口元に笑みを浮かべたように見えた。
罪を償う最たる方法。自分を許せないと思っている少女の策略に落ち、命を落とすこと。
セシルは死にたがっている。
リディアは冷酷な瞳をして、再度鞭を振り上げ、絡みつく剣をモンスターに突き立てる。
モンスターは断末魔を上げ、灰と化した。
自分はここで死ぬと思っていたセシルはあっけにとられて、後ろを振り返った。
そこには燃えるようなリディアの瞳があった。
死ぬことを誰が許可した?
瞳は雄弁に物語っていた。
セシルはその憎しみの炎にたじろいだ。

どうしたら償える。どうしたら、君を満足させられる?

セシルはリディアから逃れるように、視線を落とした。


陽が暮れ、疲れ果てた体を宿屋に横たえた。
背を向けてベッドの中で横になる二人。
夜の静けさが二人を包んだ。
疲れに体を支配され、まどろみが落ちかかるが、張り詰めた空気には緊張感も漂っていた。
そこに、突然、バロン兵がなだれ込んできた。
セシルは体を叱咤して、剣を取る。
鎧は装備しておらず、セシルは夜着のまま戦う。
セシル1人に3人のバロン兵は四方八方からセシルを斬り付けた。
とうとうセシルは剣を取り落とし、床に縫い付けられる。
一人の兵がセシルの首に剣を付きたてようとした時
「すぐに殺すなんて、面白みにかけるわね」
リディアの鈴を転がすような可愛らしい声が響いてきた。
その可憐な声とは裏腹に、鋭い鞭の一振りがバロン兵の手首を叱咤し、剣を落とさせた。
バロン兵が一斉にリディアを見る。
リディアはセシルの方へ歩を進め、セシルの髪を掴んだ。
「死ぬなんて許さない」
埃でよごれたセシルの顔に震えが走る。
「死ぬより酷い屈辱を」
リディアの強い瞳がバロン兵に向けられる。

バロン兵の手がセシルの夜着を剥ぐ。
「…ッ何を、リディア…?」
3人の男に引きちぎられ、布製の服はすぐにぼろ切れとなってしまう。
「いやだッ・・・、うあ・・・」
6本の腕が体を這いまわる。
「うぅ・・・っ、・・はぁ・・うっ・・」
武骨な指が性急に後ろに押し込まれる。
「いたっ・・・」
濡らすものが何もない状態で乱暴に中に入れられ、セシルは痛みで体をこわばらせた。
2本の指に体を探られる。
「くっ・・・」
唇を噛んでセシルは耐える。おざなりに馴らす指が引き抜かれる。
すると、すぐに体の中に熱い杭が打ち込まれた。
無理矢理押し込まれるそれは、どんどん埋まって行く。
セシルはその感触を歯を食いしばって耐えた。
「・・・ッ、あっ・・・」
痛みに耐えるセシルをあやすように、もう一人の男がセシル自身に手を伸ばし梳きあげてくる。
その手付きは、いかにもセシルの反応を楽しんでいる。
「ふふっ・・・」
その様子をじっくりと見ているのだろう、リディアが鼻で笑う声が聞こえてくる。
セシルはぴくっと体を震わせると、瞳を強く閉じた。
「くぅ・・・、あ、あっ・・・はぁ・・・」
自分を犯す男が腰を動かし始める。
中をかき混ぜ、後孔を広げるようなじっとりとした動き。
「んっ・・・うっ・・・あ、・・・あぁ・・・」
何度も内壁を擦られる。
セシルは体が押し開かれていくのを感じていた。
「んぅ・・・ん、はあ・・・ふっ・・・」
唇を引き結び、喘ぎを押し殺す。
「んっ!・・あ、あぁ・・・は、あ」
自分の前にいた男が乳首を撫で上げた。
「はぁ、あ、いや・・・あぁ・・・だめっ」
親指で転がすようにねぶられ、赤く色づいてきたところを、つままれ捩じられる。
セシルの腰が、無意識にくねり始める。
「あ、あぁ・・・は、あ、んっ、あぁ」
勝手に動き出す腰を押さえつけられ、力強く抜き差しされると、セシルは白濁を放った。
搾り取られるような収縮に、後ろの男も中で果てる。
快楽で痙攣する腰。
男が出て行くと、支えを失ったセシルは、尻を突き出すような格好で倒れ込んだ。
後孔からは男が放った白濁が零れる。次の男を誘っているような光景。

すぐに二人目がセシルの腰に手をかけ、挿入する。
「あぁ!待ってぇ・・・あ、はぁ・・・あぁ」
イッたばかりで敏感なそこを容赦なく擦られ、セシルは床に顔を押し付けながら善がった。
「あはぁ・・・ダメッ・・あぁ」
口の端からは唾液が零れる。
顔を歪めながら喘ぐセシルをリディアは冷たい顔で見つめていた。
セシルの目の前にいる男が、セシルの髪を引っ張り、自分のものを咥えるように促す。
快楽にとろけてしまったセシルはそれを頬張った。
「んっ・・んぅ・・はぁ、ん・・あん」
セシルのくぐもった声。後ろからはぐちゅぐちゅという酷い水音。そして、肉がぶつかり合うパンパンという音が混ざり合う。
しばらく揺さぶられていると、前の男と後ろの男が示し合わせたように同時に発射した。
セシルは白濁を溢れさせながら倒れ込む。
涙と涎と精液で汚れた顔で息を弾ませるセシルを3人目の男が仰向けにひっくり返す。
セシルの後孔は荒らされ、開いたまま閉じることができない。
ひくひくと蠢き、白い液を吐き出し続けるそこに、また男が自身を宛がう。

朝日が窓から射し込んでくる頃、ようやくセシルは解放された。
饗宴が終わった後の部屋は散々たる様子だった。
床に倒れ込むセシルは血と精液とで全身を汚していた。
指一本動かすことも辛そうなセシル。そのセシルの髪をリディアは優しげに撫でる。
セシルが重そうな瞼をこじ開け、光を失ってしまった瞳をリディアへ向ける。
リディアは手が汚れることも気にせず、セシルの頬をなでた。
赤ん坊をあやすように。
セシルはリディアの憎悪に怯えるものの、頬を撫でる優しい手のぬくもりに心地良さを感じずにはいられなかった。
安心したように目を閉じようとするセシルに、リディアが酷薄な光を宿す瞳を細めながら囁く。

「許してあげない」

セシルは閉じようとしていた目を一瞬見開く。
ぞっとするような絶望感が体を這いまわる。
そのままセシルの意識は闇の中へ沈み込んでしまった。

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