flowery flower


彼氏と彼女(7)
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大通りから、脇道に入る。
私は目印になるような物を確かめながら椿と手を繋いで歩く。

次に、来るとき迷わないように、なんだけど。

他愛のない話をしながら着いた所は―――、あんぐり口を開けて間抜け面を晒してしまった。

何これ何よこれ!

「伊万里? 行くよ」

エントランスで立ち尽くした私に椿が不思議そうな顔。

行くよじゃないわよ、ちょっとどういうことー!?

「つ、椿、マジでここ住んでんの? お前給料いくら貰ってんの!」

おっとハシタナイ。付き合い始めたばっかで金のこと持ち出すなんていやらしいぞ、私。

なんて自己ツッコミしつつもキョロキョロするのを止められない。

だって、ここ、いわゆる超高級マンションというやつでは。
億ションとまではいかないだろうけど、このつるつるの床! 大理石!? とか、最初のオートロックが指紋照合って何!(私も登録させられました……)

ロビーがやたら広いんですけど。
ありえない、私の常識としてこんなところに普通の会社員が住むなんて、ありえない!

「まあ仕事が大変な分、ちょっと高給取りだけど、そんなすごいわけじゃないよ? あとで通帳見せようか」

あっさりそんなことを言う椿にブンブン頭を振った。
そんな恐い通帳は見たくない。

あ〜もう、なんでエレベーターがいくつもあるの〜! 階ごとの専用っておかしいよ!

「ていうか、先輩の持ち家を格安で借りてるんだよ。いくらなんでも俺だけの給料でここ住むの無理だって」

私の戦々恐々ぶりに苦笑しながら、椿は慣れた様子でエレベーターのボタンを押す。

十四階まで一気に。
うう……なんか気分悪くなってきた……。




 

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