躾がなってません
『……アスタとアレイストってさ、何だかんだ仲ええな? 他の従兄弟とかとは、あんなツンケンしとんのに』
ポフン、と横に並ぶように寝転んだ。
『叔父さんと結婚しとるからって理由とは違うようやし。ロルフも合わせて、……うーと、なんか、チームみたいな感じ?』
『まあ、それに近いかな。これ言うとミッキが妬いちゃうかもしれないけど、許嫁だったんだよね、あたし。化石ジジイどもが生まれた時に勝手に決めた話だけどさ』
へー、イイナズケ。
別に妬かへんけど、
『つまり、アレイストを振って、アスタは叔父様に走ったっちゅーことか』
アレイストはフラれんぼか。
うわ、笑ける〜。
うけけけ、と笑っていると、ズシリと背中が重くなって私の上に影が落ちた。
………。
「――俺より先にアストリッドとベッドインだなんて、不公平じゃない?」
ぎぃーやーあーぁああーッ!!!
エロモードアレイストが現れたっ!
俯せに寝転んでいた私の頭の両脇に手を突き、身体の上に覆い被さるようにしてヤツは私を拘束した。
相変わらず気配感じひんねん、つかこの体勢ヤバい、クスクス楽しそうに笑うなああぁッ!!
『不公平て意味不明ッ! 重い、退けッ、てゆうかアスタはどこ行くねんッ!?』
アワアワしている私を横目に、アスタはヒラリ手を振って部屋を出ていこうとするところだった。
「一応バカ様方にご挨拶しとかないとね〜、二人はごゆっくり〜」
ごゆっくりやあらへんちゅーのッッ!
前にも似たようなことなかったか!
私は首筋に顔を埋めてくるアレイストの頭を必死で肘でどつく。
ジタバタするだけアレイストのクスクス笑いが楽しそうになっとるんは気のせいか。
『今日の分はあげたやろ! やめんかい、この変態! アホンダラ! ……お〜も〜い〜〜ッ!』
もがく私を文字通り身体で押さえ込んで、アレイストは楽しそうに喉の奥で笑っている。
あたしを敷布団と勘違いしとるんちゃうか。
最近セクハラにも慣れてしまって受け流すことを覚えたからちょーしに乗りやがってこのエロ吸血王子!
「……ミツキ、甘い香りがするね……」
さっきまで蜂蜜たっぷりトースト食っとったからな。
頭の中でだけそう答えていると、チクリ、と首筋に痛みを感じた。
また噛みやがったッ!
一日一回やて言うてんのに!
『アレイストっ! “待て”が出来へんのお行儀悪いで!?』
「……これ以上はないおあつらえ向きのムードだと思うんだが」
まるで甘噛みするように首筋に軽く牙を当てながら呟いている。
ちょ、くすぐったいやんけ、どこ触ってんの、脇弱いねんヤメテー!