招かれざる客たち・3
その辺はお家の仕事の一部を任されているだけあって、オトナっちゅうか。
そんな風にボソボソとささやき交わしていると、さっきまで言い合っていたボクちゃんとハルさんが心底ビックリしたような顔をしてこちらを凝視してるのに気づいた。
うお、なに?
「……驚いた、君がそんな顔をするなんて」
ハルさんがどこかポカンとした様子でそう言った。
そんな顔?
どんな顔?
視線の先にいるアレイストをじぃと見上げると、ニヤニヤ笑いは引っ込んで、ムッツリ真顔になっていた。
「ますます、興味深い、ね」
とハルさんは今度は私に向かって。
なんやの?
私は首を傾げた。
アレイストは私の肩を抱いたまま、部屋にいる三人を見てため息をつく。
「……で、この場にいるのが長老が厳選した花婿候補というわけか?」
苦々しげな声に私も改めて彼らを眺め直した。
毒気が抜かれたみたいにバカ面を晒しているボクちゃん、意味深な笑みを浮かべているハルさん、そんでもって今まで繰り広げられていた騒ぎをまるっとスルーしていた、ソファーに座って茶を飲んでいる金髪頭。
ん?
『あ、クリスナントカやん』
私の声にチラリとこちらを見て、奴は会釈なんだかよくわからない感じで頭を揺らす。
あんだけアレイストらにおちょくられて、まだ顔を見せる根性あったんかー。
我関せずっちゅう態度やけど。何しに来たん?
クリスナントカがいたのにももちろん気がついていたんだろう、アレイストは殺気のようなものを発している。
「長老やお前たちの思惑が何だろうと彼女は俺だけのものだ。誰かと花嫁を共有するつもりもなければ、させるつもりもない。速やかに去れ」
低く、何者をも従えるような声音で告げて、私の肩を抱いた力を強くし、そのまま部屋から出るように促す。
え〜と、いま何か不穏な単語が混じってたような気がするんやけど。
共有てナニ。